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感染者が急増しても緊急事態宣言がなかなか出なかったのはなぜ? 菅政権の疑問だらけのコロナ政策を検証した――。

 

60%を超える高い支持率で船出した菅義偉首相だが、NHKの世論調査(1月13日)によると内閣支持率は40%まで急落した。後手後手の新型コロナウイルス対策で国民から愛想を尽かされつつある菅内閣。国民が疑問に思う“なぜ?”の理由を専門家に聞いた!

 

■緊急事態宣言はなぜ遅れた?

 

「皆さんの協力をお願いします」

 

菅首相は1月7日に緊急事態宣言を出すことを決めたが、小池百合子東京都知事ら1都3県知事の強い要請に押し切られた形だった。

 

政治アナリストの伊藤惇夫さんが解説する。

 

「菅首相のコロナ対策の姿勢を見ていると経済重視という印象が強い。昨年4月の緊急事態宣言のあとの経済の落ち込みが非常に激しかった。当時、官房長官だった菅さんとしては、今回はなるべく宣言を発出したくないというのがベースにあったようです。知事の要請があって渋々やらざるをえないというのが本音でしょう」

 

■入国の全面制限はなぜできなかった?

 

13日、菅首相はこれまでの方針を大きく変えて“ビジネス往来”の例外措置を停止した。昨年末に新規の外国人の入国を原則停止していたが、中国や韓国など11カ国・地域からのビジネス目的での入国を例外とする措置がとられていた。財界に配慮した菅首相の強い意向だと伝えられているが、国内で英国発の変異種が見つかったことなどもあって、この措置への批判が高まっていた。

 

元経産官僚で政治経済評論家の古賀茂明さんがこう指摘する。

 

「菅さんは地方の農家で生まれ、特別頭が切れるわけでも、見た目がいいわけでもない。そんな劣等感から強烈な上昇志向があります。どういうふうにしたら、自分が得するのか、権力を守れるのかというのが一番にある。だから、コロナを防ぐことよりも自分の損得を優先させてしまうのです」

 

■東京五輪に固執しているのはなぜ?

 

迷走ぶりが目立つ菅首相だが一貫しているのは東京五輪への固執。12日のマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏との電話会談で「必ずやり切る」と語ったと報じられた。

 

「菅さんには、これから先、支持率を上げる手段は五輪開催しかありません。オリンピックを開催して国中が盛り上がれば、その流れで総裁選も勝てるし、総選挙も大丈夫だと見込んでいるようです。それに加えて、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の機嫌をうかがうことも重要。いまだに森さんは自民党、特に細田派内で影響力があり、首相の地位を守ってくれる存在。菅さんが東京五輪に固執するのは、アスリートのためではなく、自らの保身のためなのです」(古賀さん)

 

最後に伊藤さんは次のように語る。

 

「菅首相は“ブレる”ことを嫌う政治家です。自分が示した方針を曲げることは“負け”に等しいと考えています。平時ならば、一貫した姿勢が評価されることもありますが、このコロナ禍という非常時には柔軟に対応しなければいけません。危機的な状況には不向きな首相だと思います」

 

「女性自身」2021年2月2日号 掲載

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