「死亡者が増えているのは、高齢者施設のクラスター化を放置しているから。そう伝えるため、昨年8月から4度にわたって吉村知事宛てに『新型コロナウイルス発生施設に関する緊急要望』という要望書を提出してきました。
しかし返答はいっさいなく、すべて無視されました。行政側の対応にも、何の改善も見られませんでした」
そう憤りをあらわにするのは、大阪府の介護老人保健施設が加盟する大阪介護老人保健施設協会の木場康文事務局長だ。
新型コロナウイルスによる死者が全国最多となっている大阪府。1月27日時点での累計死亡者数は、880人にのぼった。
「累計感染者数は東京都のほうが2倍もいるのに、死亡者数を見ると逆転しています。それだけ、大阪府の死亡率が高いのです」(全国紙記者)
その背景には、高齢者の感染増加があるという。
大阪府の発表によると、昨年10月10日から1月5日の死亡者は390人。そのうち、97.7%が60歳以上だった。
実は昨年秋以降、府内の高齢者関連施設でクラスターが相次いで発生していた。その数、なんと100件を超えていたのだ。
木場氏は、感染発覚後の対応に問題があったと指摘する。
「高齢者は、新型コロナウイルスに感染した際の重症化リスクが高いといわれています。しかしPCR検査で陽性反応が出ても、無症状だとすぐ入院させてもらえません。保健所から『病床がいっぱいなので、施設内で預かっていてください』と指示されるのです。
施設内で感染拡大を防ぐといっても、さすがに限界がありますからね。これでは、あちこちでクラスターが起こるのも当然といえるでしょう」
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