4月に訪米を控え、新型コロナウイルスワクチンの1回目の接種を受ける菅義偉首相(写真提供:共同通信) 画像を見る

「ワクチン接種を受けた人はマスクを外して会えるようになりました。また、レストランの入場制限も緩和され始めています。ワクチンに守られているという安堵感が町中にあふれ、患者さんにも1年ぶりの笑顔が戻ってきました」

 

そう語るのは、米国ニューヨークのマウントサイナイ医科大学の内科医・山田悠史先生。4月中旬に『日米で診療にあたる医師ら10人が総力回答! 新型コロナワクチンQ&A100』(日経メディカル開発)を発売予定だ。山田先生はすでにワクチンを接種したという。

 

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えると期待されるワクチン。米国では3月25日までに1億2,000万回以上の接種がなされ、65歳以上の66%以上で1回目の接種が完了している。

 

「現状では新型コロナの特効薬はありません。個人の感染や重症化を防ぐだけでなく、集団免疫を獲得して、コロナ禍以前の日常を取り戻すためにも、ワクチン接種の役割はとても大きいのです」

 

日本でも、4月中旬から高齢者へのワクチン接種が始まるが〈副反応が出た〉などのニュースに不安を抱く人も。そこで、ワクチンの正しい情報を発信し続けている山田先生にワクチンに関するさまざまな疑問をぶつけてみた。

 

【Q1】アナフィラキシーなど副反応が多いように感じ、心配です

 

どんな薬にも作用と副作用があるように、ワクチンにも有効性と副反応があります。なかでも重大な副反応は唇や舌が腫れたり、呼吸が苦しくなったりするアナフィラキシー反応です。

 

日本では医療従事者を対象に、3月11日時点で18万1,184回の接種が行われており、うちアナフィラキシー反応が37例(女性35例)報告されています。割合で言えば100万人あたり204件。米国の4.7件、英国の18.6件に比べ高いのではないかとの報道もあります。

 

しかし、国内の接種数はまだまだ少ないです。報告の基準が他国と異なっており、過剰に報告されている可能性もあるので、数字を単純比較することはできません。また、なかでも重い副反応である「アナフィラキシーショック」に至っている例は1例のみ。運悪く発症された37例の方は皆回復されています。

 

さらにこれまでのワクチンによるアナフィラキシー反応のほとんどが、接種後5〜30分以内に起きています。打ってから15分以上接種会場で待機することになっているので、万が一発症した場合もすぐに処置を受けられます。

 

【Q2】接種後、くも膜下出血で亡くなったという報道がありましたが……

 

現在、透明性の高い状況でワクチンの接種が進められています。そのためワクチン接種との因果関係が明らかではない症状(有害事象)も含めて情報が公開されています。

 

関連性を100%否定することはできません。しかし、世界中で3億回以上のワクチン接種がされているなか、ワクチン接種のタイミングで偶然病気を発症してしまうこともある、と理解しておく必要があります。

 

【Q3】新しいタイプのワクチンですが、どういうものですか?

 

日本で接種されているファイザー社製のワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンという新しいタイプ。

 

わかりやすくいうとコロナウイルスの一部の情報だけを体内に届けて抗体を作らせます。もちろん、ワクチンを打ったせいで感染するということはありえません。

 

4万人以上が参加した臨床試験では、90%以上の発症予防効果が認められています。約60万人に接種したイスラエルのデータでは、ワクチンを打った人の発症予防だけでなく、重症化や感染を防ぐ効果も報告されているのです。

 

短期間で実用化されたことを危惧する声も聞かれますが、安全性や有効性を確かめる臨床試験はほかのあらゆる新薬と同様のステップを踏んでいます。

 

通常、新しいワクチンの開発では臨床試験の被験者を集めるのに膨大な時間がかかります。しかし、世界的なコロナ危機により、被験者をすぐに集めることができたことも、スピーディな実用化ができた要因です。

 

【Q4】変異株にも効果はありますか?

 

ファイザー社製のワクチンは複数の研究で変異ウイルスにも一定の効果があることが示唆されています。さらに、変異ウイルスに対応したワクチンの開発もすでに始まっています。

 

コロナワクチンの接種にあたって、不安や疑問を感じた場合、山田先生が中心となって立ち上げたLINEアプリ「コロワくんの相談室」もぜひ活用してほしい。

 

日常を取り戻すため、正しい知識をもち、万全の状態でワクチンを接種しよう!

 

「女性自身」2021年4月13日号 掲載

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