難病の息子に涙ばかり見せられない!母のブログがルーキー賞に
画像を見る 1年ほど前から日課のマッサージ

 

「それは……、お答えしづらい質問です。長く生きられるかどうかも実際、わからないんです。腎機能が低下した場合、余命予後を左右します」

 

絵里奈さんは、主治医の前でただひたすら、泣き続けた。

 

「『なぜ、この子が病気に?』って、ずーっとずっと、考えてました。妊娠中の離婚がおなかの陽向に大きなストレスになったんじゃないかとか……」

 

ちょうどそのころ、絵里奈さんはインターネットである詩を見つける。それはアメリカの、ダウン症の娘を持つ牧師夫人のエドナ・マシミラさんが50年以上前に書いたものだった。

 

「『天国の特別な子ども』という詩です。『特別な子』の成長はゆっくりで、たくさんの愛情が必要で、それでも一人前になれないかもしれない、だからこそ、特別な任務を引き受ける親を神様が選んで生まれてくる、そう書かれていて。それを読んで、気持ちがすごい楽になったんです。重い病気だからこそ、陽向は私を選んでくれた、そう思えるようになったんです」

 

陽向くんが生まれたころから始めたインスタグラム。それまでは日常的なかわいらしい子供たちの姿だけをアップしてきた。むかえた、陽向くん1歳の誕生日。絵里奈さんは思い切って息子の病気のことを、世界に向けて発信した。

 

「以前、やっぱり発達が遅れ気味の子を持つ先輩ママとラインでやりとりしたことがあって。別に、大したことを書き送ったつもりはないのに、そのママが『すごい励みになった、ありがとう』って感謝してくれたのが、すごくうれしかった。それで、こんな私でも何かを発信することで、誰かの助けになるのかもと思うようになったんです」

 

絵里奈さんのインスタグラムには同じジュベール症候群を患う子を持つママから「あなたの発信で、子供の病気の認知度が上がったらうれしい」というコメントが寄せられた。さらに、去年12月からはティックトックを、今年の春からはブログも開始。どれも大反響、なかでも始めたばかりのブログは、運営企業から「ルーキー賞」に選ばれるなど、大きな注目を集めている。

 

「あのころの泣き虫だった自分に言いたいです。『陽向も着実に成長していくよ、頑張れば、何年後かにはみんなで笑い合える日が来るよ』って。陽向はまだ言葉も話せないし、目だってちゃんと見えてるのかわからない。でも、この子なりに見ている世界はきっとあるはずで。そのなかで、ママの私がいっつも泣いてたら、そんなかわいそうなことないなって思ったんです。だから、もう子供の前で泣いちゃダメだって誓ったんです。子供の記憶に私の泣き顔は絶対に残さないぞって」

 

眠った陽向くんを見守りながら、絵里奈さんはうれしそうに笑った――。

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