■“バラエティー”のノリで知事を出演させる
昨年11月には“都構想”の是非を問う住民投票を強行。感染が広がるなか、このタイミングで行うことに疑問の声が出た。
「一方で、吉村知事は感染者数が増加すると医療機関に対し、『ベッド数を増やせ。増やさない病院は名前を公表する』と、脅しのようなことを言い始めました。結果的に名前の公表には至りませんでしたが、ある民間病院の院長は『場当たり的な対応を繰り返して、最後は医療機関にだけ負担を押しつける』と憤っていました」(松本さん、以下同)
3月1日の緊急事態宣言の解除も、吉村知事が政府に働きかけて1週間前倒ししたものだ。それに伴い、すぐに対応できる重症病床の数も縮小したが、ふたたび感染が爆発し、“医療崩壊”を招いたと指摘されている。ところが、在阪メディア、特にテレビで、こうした知事の失政が正面から批判されることは少ない。
宣言解除前から変異株の危険性は指摘されていたにもかかわらず、吉村知事は“医療崩壊”に陥った理由を「変異株の感染力が予想以上だった」からと説明。テレビに出ても、無批判にその声は垂れ流されることが多かったという。
「知事が出演しているのは、主に情報番組。普通、政治を扱うのは報道局なんですが、情報番組はバラエティー番組をつくる制作局が作っています」
知事が頻繁に情報番組に出演する。そんな大阪特有の“伝統”を作ったのは橋下徹元大阪府知事(52)だと松本さんは指摘する。
「橋下さんは、知事になる以前からタレントとして頻繁に情報番組に出演していたので、当時から親しかった制作局が、府知事になってからも番組を作るようになったんです。制作局の人間からすれば“身内”の橋下さんが知事になったわけですから、権力者に対峙するというより、タレントに対し、〈がんばってや!〉みたいなノリになってしまうのでしょう。そんなメディアとの“共犯関係”を吉村知事も継承したんです」
そこに批判的な視点など、生まれようもない。