うがい薬の効能を力説する吉村知事(写真:共同通信) 画像を見る

「吉村さん、がんばってはる」

 

関西圏の昼のワイドショー。吉村洋文大阪府知事(46)がカメラに向かって、現在の大阪の感染状況や今後の見通しを語る。大阪のコロナ対策の総責任者である吉村知事だが、淡々としたその語り口からは、どこか当事者意識が希薄のようにもみえる。

 

その様子を聞きながら、ときどきちゃちゃを入れるのが吉本芸人を中心とした番組“コメンテーター”たち。もちろん批判的な質問などはほとんどなく、冒頭のような声でたたえることさえも……。これはコロナ禍でおなじみになった関西のテレビの現状だ。

 

「吉村知事と在阪メディアの蜜月ぶりは、とにかく異様です。昨年3月に、『大阪と兵庫県の往来を自粛してほしい』と吉村知事が突然発表したあたりから、吉村知事のテレビ露出が特に増えました。大阪府のホームページに掲載されている〈知事の日程〉欄には、吉村知事のメディア出演予定がいくつも並んでいます」

 

そう話すのは、元神戸新聞記者で大阪維新とメディアの関係に詳しいノンフィクションライターの松本創さん。本誌が調べてみると、2020年4月から2021年5月までの14カ月間で、吉村知事のテレビ出演は143回。多くは地元関西の情報番組だ。コロナ対応で多忙な時期に、週2回は出演していたのだ。

 

吉村知事がテレビ出演で忙しくしている裏で、地獄を見ていたのは、ほかならぬ大阪府民だ。

 

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