五輪の強硬開催、病床逼迫…菅政権の失策は「話聞かない」が根本原因
(写真:共同通信) 画像を見る

9月3日に、自民党総裁選に立候補しないと表明した菅義偉首相(72)。昨年9月の就任からわずか1年あまりで首相の座を下りることになった。

 

短い期間だったが、菅政権がこしらえた負の遺産は多岐にわたる。これらを整理することで、次の政権の課題を可視化していこう。

 

■抑えられなかったコロナ感染拡大

 

9月13日現在の、新型コロナウイルスの累計感染者数は164万5,140人となった。一方で、菅政権が発足した’20年9月16日の累計感染者数は7万7,156人、1日の感染者数は551人。現在と比較すると少ないが、当時も、皆が増加していく感染者数を危惧していた。

 

「ところが菅首相は“感染が拡大したエビデンスはない”と昨年10月、一部地域に限定されていた『Go To トラベル』を東京都を含む全国に拡大したのです」

 

そう語るのは、社会学者で東京都立大学教授の山下祐介さん。

 

「事業拡大後、新規感染者数が全国的に増加し始めます。昨年11月20日以降、政府の新型コロナ対策分科会は3度にわたり、事業の見直しや停止を提言しましたが、菅首相は当初その助言を無視。Go To 事業の全国的な停止を決めたのは、最初の提言から3週間以上たってからのことでした」

 

ワクチン接種のスタートが遅れたことも、感染拡大につながった。

 

海外では昨年12月から始まっていたワクチン接種。一方、日本で高齢者を対象に接種が始まったのは、4月になってから。その後、接種は進むが、国内で2回目を終えた人の割合は50%にやっと到達したばかりだ。

 

河野太郎ワクチン担当大臣は、厚生労働省が米国での治験データを不十分として、日本で再治験をしたことで接種開始が遅れた、とラジオ番組で語ったが……。

 

危機管理に詳しい株式会社リスク・ヘッジの田中優介さんが語る。

 

「慎重になるあまり、平時と変わらない対応をとる厚労省に対して、菅首相は、せっかく手にした強い権限を発揮し、五輪をテコに、世界に先んじて日本中にワクチンを行き渡らせることもできたはずです」

 

次ページ >ワクチン一本足打法が招いた病床逼迫

出典元:

「女性自身」2021年9月28日・10月5日合併号,

【関連画像】

関連カテゴリー: