【ケース2】私が夢見る明日:毎日24時間一緒、からの解放! 看護師の仕事に復帰したい
ママ:市野寛子さん(36)。岐阜県在住。元看護師。現在は主婦。
長女:千陽ちゃん(3歳)。トリーチャーコリンズ症候群。難聴の障害あり。
必要な医療的ケア:気管切開、経管栄養。
3歳の千陽ちゃんは経管栄養と気管切開はしているが、元気いっぱい。最近は口から食事や水分を取れるようになり、痰が絡まることも減り、ほとんど医療的な処置を必要としなくなったそう。特に行動制限もなく、お出かけも外遊びもプールも、自由にできる。
難聴のため週2回療育に通い、発達支援センターにも週3回、朝から3時まで通ってきたが、親が四六時中付き添わなくてはならない。千陽ちゃんには1歳半の弟がいる。
「姉が療育に通っているので、弟を保育園に預けることはできるのですが、3歳未満児の保育料は高額です。千陽に付き添っていて私が働けない状況では、経済的な負担が大きすぎて簡単に預けられません。それでいまは、弟を祖父母に見てもらっています」
寛子さんは元看護師。不妊治療のためにいったん仕事を辞めたが、出産後は復帰する予定だった。
「せっかく資格をとって看護師になったのですから、もちろん働きたいです」
ずっと親が付き添っていることが、発達や成長に影響しないかという心配もあり、今年春からの保育園入園を希望していた。
「年少さんに入る年齢なので、保育園に相談し、一度は入園が決まりかけていました。ところが、看護師の配置が難しいという理由で結局は入れないという結果に。娘は自由に動き回れるので、預かる側も何かあった場合の責任問題を気にして預かりにくいのかもしれません」
支援法が施行されると、事態は改善するのだろうか。
「私の住む自治体では、法案が可決されたこともまだ周知されていなくて。地方と東京では温度差があるのかなって感じます。でも、この法律は、支援の地方格差をなくすことも目的になっているので、そこにも期待したいですね」
出産後、お母さんはどんな支援が受けられ、どこに何を申請すればいいのか、誰に聞けばいいのかわからず困ったという。
「インスタやブログで発信して、気管切開をしている子の会(気切の会)など、同じ立場の方とつながり、情報を得てきました。支援センターができれば情報が集めやすくなり、助かります。法律が機能して、どの保育園にも医療従事者が配置され、希望する園に入園でき、仕事を再開できる日が来ることを待ち望んでいます」