専門家が指摘「日本のコロナ死者数は過小評価されている」
画像を見る 【グラフ】大阪府の毎月のコロナ死者数

 

■府立病院の民営化でコロナ対応が後手に

 

「厚労省にも大きな責任がある」と断じるのは、『日本の医療崩壊をくい止める』(泉町書房)の著書もあるNPO法人医療制度研究会・副理事で医師の本田宏さんだ。

 

「不採算部門である感染症に対応できるのは、採算を度外視して医療に当たれる公立や公的病院です。しかし厚労省は、医療費削減のため公立・公的病院を統廃合して病床削減を行ってきました。特に大阪は、東京都に先んじて府立病院を独立行政法人化(民営化)した結果、スタッフの人件費が削られ、人工呼吸器を装着できるベテランの看護師も減っていたと聞いています。重症者の受入れセンターを作っても、患者の受入れが進まなかった背景には、こうした厚労省の政策の失態もある」

 

10月以降、数字上では感染拡大が落ち着きを見せているものの、第6波の到来を懸念する声は多い。

 

これまでのような惨事を繰り返さないために何が必要なのか。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんは次のように警鐘を鳴らす。

 

「すぐにでも、高齢者をはじめとしたワクチンの3回目接種を始めるべきです。ワクチンは十分確保できているのに、厚労省内部の手続きが遅れていて、12月からの開始になってしまった。これでは第6波に間に合わず、再び高齢者の死亡が増加する恐れがあります。また、アメリカのメルク社が開発したコロナ経口薬の確保でも厚労省は後れをとっている。こちらも急がなくてはなりません」(上さん)

 

私たちが見聞きしている数字より、さらに深刻なコロナ死の実情。ウイルスにとって都合がよいとされる、空気が冷たく乾燥する季節を前に、けっして油断は禁物だ。

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