■「部屋の空気管理」が感染リスクを下げる
「オミクロン株には未知の部分が多く、そのなかで私たちにできるのは予防を徹底すること。コロナ禍でマスク着用や手洗いが習慣になった人は多いと思いますが、これからの季節は、『温度・湿度の調整』『換気』といった室内の空気管理がより重要になってきます」
そう話すのは、微生物学、ウイルス学が専門で、札幌医科大学教授の横田伸一さんだ。
気温が下がり、空気が乾燥する冬は、ウイルスの生存に適した季節。オミクロン株は感染力がデルタ株より強い可能性も指摘されているなか、部屋の空気管理もぬかりないようにしたいところ。
湿度や温度の設定、また換気はどのくらいの頻度で行えばよいのか、解説してもらった。
「ウイルス対策のためには、室内の温度は18〜22度、湿度は50〜60%を目安にしましょう。そのうえ、暖かい格好をして、体を冷やさないように。人の体は低体温になると、免疫力が低下してしまいます」(横田さん・以下同)
■粘膜が乾燥するとバリア機能が低下する
湿度は、低すぎても高すぎてもよくないという。
「湿度が低いと、空気が乾燥して飛沫が飛びやすくなります。同時に、のどや鼻の粘膜が乾燥し、体に備わっているバリア機能が弱くなってウイルスに付け入るすきを与えてしまう。40%以下では湿度が足りないと考えてください。反対に湿度が高すぎると、飛沫が空気中に残りやすくなってしまいます。さらに、窓に結露が発生し、室温の低下やカビが発生する原因になるので注意が必要です」
ウイルスを長時間生存させないために、換気も怠らないように。
「目安は1時間に1回、5分程度。窓を5センチ開けて空気を外に流しましょう。部屋の対面に空気の入口と出口を確保するのがポイントです。窓がない部屋では、扇風機やサーキュレーターを使って、空気の流れを作りましょう」
冷え込みが激しい朝晩など、窓を開け放つのが困難だという場合は、まず人がいない部屋の窓とドアを開けて空気の流れを作るとよいという。そこから廊下づたいにリビングに空気を通す“2段階換気”にすれば、急激な室温の変化を抑えることができるそうだ。
オミクロン株の感染リスクから身を守るためにも、換気の習慣をいま一度見直してみよう。