「これまでの常識が通じない」医師が警戒するオミクロン株の感染力
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■3回目接種で、抗体値を高める

 

さらにヨーロッパでは、2回のワクチン接種を済ませている人がコロナに感染する“ブレークスルー感染”の頻度が高まるというデータが出ているのだ。

 

「たしかに、ワクチンはウイルスが変異するたびにその効果が下がるものです。しかし、それは感染予防効果であって、重症化予防に関しては、従来型もデルタ株でも大きな差はなかったため、オミクロン株に対しても期待できます」

 

12月9日、ファイザー社は、「オミクロン株へのワクチン効果は、ブースター接種によって25倍になる」と発表している。

 

「現段階において私たちにできることは、可能な人からブースター接種をして、抗体価を高めること。同じm-RNAワクチンであるファイザー社とモデルナ社のワクチンの『交差接種』も、今後は増えていく見込みです。副反応に関しては、現状で2回目接種のときよりひどくなる確率は低いとされています。ブースター接種は、オミクロン株だけでなくデルタ株対策にもなる。イスラエルでは、ブースター接種によって重症化率が20分の1、感染率が10分の1に抑えられると報告されているのです」

 

ワクチン接種に加え、検査体制にも早急に是正すべき点があると上さんはいう。

 

「デルタ株が猛威を振るった首都圏や大阪など、オミクロン株の広がりが想定される地域においては、無症状の人であっても無料のPCR検査を積極的に行って、いち早く感染者を割り出し、感染拡大を食い止めることが必須です」

 

■次のピークは来年の1月下旬〜2月初旬か

 

空港で実施されている抗原検査を用いた検疫体制も、PCR検査に比べ精度が低いと指摘する。

 

「CDC(米疾病予防管理センター)の調査では、PCR検査で発見された“陽性者”のうち、抗原検査では“症状のある陽性者”で8割、“症状のない陽性者”では4割しか割り出せなかったといいます」

 

医療の受入れ体制に関しても、今夏のデルタ株流行の際、コロナ病床として補助金を受け取りながら、患者を受け入れない“幽霊病床”があったことも問題視されたため、不安が残るところだ。

 

「非難の的になった国立病院や、尾身茂氏が理事長を務める地域医療機能推進機構も、これまで以上の数の患者を受け入れざるをえないでしょう。重症者を受け入れ、高度医療ができる病院同士の連携が求められます」

 

現役世代がブースター接種を受けるのは年明け以降になる。この冬は、これまでどおりに密を避け、マスク着用、手洗いなどの徹底した感染対策を続けることが求められる。

 

「昨冬は、1月10〜11日あたりにコロナのピークがきました。オミクロン株の感染力が予想されているレベルであれば、流行期間は長くなり、ピークがやってくるのは1月下旬から2月初旬あたりになるでしょう」

 

“第6波”を大規模なものにさせないためにも、けっして気を緩めてはならないのだ。

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