アサリだけじゃない…「国内産」のイメージが独り歩きする食材
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■外食や加工食品では産地はわからない

 

国産アサリの漁獲量は年4,305トン。農林水産省の調査結果をみると、全国の小売店での販売数量は年間1万2,000トンほどになる。足りない分は輸入に頼ることに。総輸入量3万6,109トンのうち中国産アサリは2万6,000トンを占めている。

 

ちなみに3月3日のひな祭りに食されるお吸い物のハマグリも、国内の生産量を輸入量が大きく上回っており、その9割を中国産が占める。

 

「みそ汁をはじめ、和食に用いられるイメージが強い食材でも、国産だけではとうてい需要を賄いきれていない。実際は外国産がほとんどを占める食材は少なくありません」(河岸さん)

 

悪質な偽装がされていなければ、単一の食材は店頭で産地表示をしっかりチェックすることができる。

 

だが、産地表示がない外食や加工品となるとお手上げかもしれない。高原の有名観光地での体験を語るのは都内在住のA子さんだ。

 

「観光客でにぎわうおそば屋さんで山菜そばを食べたのですが、後から地元の人に、その店で使っているそば粉も山菜に使われている水煮のわらびやぜんまいもすべて中国産だと教えられてガッカリしたことがあります。別に国内産だとうたっていたわけではないのですが。帰りに土産店で梅干しを買いましたが、産地表示を見たら原材料の梅が中国産とあって……」

 

旅先で郷土料理、ご当地メニューなどを見かければ、それには地のものが用いられていると考えてしまいがち。だがA子さんの例にある山菜は、生産量自体が少ないうえ、収穫される期間も極めて短い。そのため、国産を口にできる機会はそう多くないようだ。

 

最後に河岸所長がこう語る。

 

「アサリは、2カ所以上で育てられた場合、期間が長いほうを食品表示の『産地』にすることが可能です。たとえ中国で生まれたアサリでも、日本で養った期間のほうが少しでも長ければ国産品となるなど、とてもいいかげんです。さらにいえば、食品表示で生産地を示す基準は野菜、魚、肉などそれぞれバラバラです」

 

今回のアサリの産地偽装の事件を受け、生産地の基準を見直す動きも出始めている。

 

「産地偽装による混乱を繰り返さないためにも、産地表示のルールを厳格にし、消費者にもわかりやすい仕組みを作る必要があるでしょう」(河岸さん)

 

長期スパンでは低下傾向にある日本の食物自給率。私たち選ぶ側も、きちんとした目を養う姿勢が求められているーー。

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