作家・渡辺一枝さん「3.11後の福島で見た『ふるさと』の喪失」
記事投稿日:2022/03/11 11:00 最終更新日:2022/03/11 11:00
自宅の地下の「チベット部屋」。一枝さんが現地で収集したものが並ぶ(写真:落合由利子)
「昔はなぁ、とおちゃんがいで、かあちゃんがいで、となり近所のじいちゃん、ばあちゃんがいで。私らは、小ちゃいうちから、そういう人たちに育ててもらったんだ。なんぼ貧しくたって歩んでいける。ここの厳しい自然が、それを教えでくれたんだ」飯舘村(福島県相馬郡)に住む菅野榮子さん(84)は、どこか懐かしい方言で、幼い日の暮らしを語っていた。傍らで、「そうよね、そうよね」と、真摯に耳...