■年金が増えると医療費負担も増える

 

 

さらに、年金収入が増えた場合、医療費の負担も増加する。

 

「75歳以上の高齢者の医療費窓口負担は原則1割ですが、10月からの法改正で、一定の所得(単身世帯は年金含めて200万円以上など)がある人は2割に引き上げられます。後期高齢者になれば、定期的な通院が増え、夫婦で年間10万円程度の医療費がかかると思っていたほうがいいでしょう。これが2割負担になると20万円に。年金生活において、この10万円の負担増の影響は無視できません」

 

深田さんの試算によると、年金200万円の夫が、65歳から年金を受給した場合は、75歳以上の医療費の窓口負担は1割にとどまるが、70歳、75歳までと年金を繰り下げた場合には、2割負担になる可能性が高いという。

 

図のチャート(画像参照)を参考に、自分の負担割合が何割になりそうかを知っておくことも重要だ。

 

では、どのような人が繰り下げに適しているのだろうか?

 

「男性でも女性でも、予想される年金収入が少ないと、増額に伴う手取り率低下の影響を受けづらく繰り下げで得をしやすいです。自営業の人や専業主婦など年金を100万円前後かそれ以下しか受け取れない場合には、75歳まで繰り下げるのも選択肢です」

 

都市圏の場合、夫婦なら夫の年金額が211万円未満で、扶養される妻の年金額が154万円未満であることが住民税の均等割が非課税になる基準。この金額を超えない範囲での繰り下げなら、社会保険料の負担の急増を避けて、年金を増やすことができそうだ。超える場合、もちろん手取りの金額自体は増えるがお得感は少なくなる。

 

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