■ノババックスの副反応は?
【副反応】
「ノババックスの副反応は、比較的軽いものだと考えられます。接種後の発熱も10%以下。mRNAよりも頻度は低いですが、まったくない、というわけではありません」(森内さん)
ワクチンの添付書類にも副反応の発生頻度が明記されており、頭痛は1回目24.93%、2回目44.45%、倦怠感は1回目14.72%、2回目38.94%、関節痛は1回目7.68%、2回目22.22%、悪心/嘔吐は1回目6.37%、2回目11.26%。いずれも1〜2日程度で改善するという。
2回目にモデルナを接種した人のうち、発熱が見られたのは78%。これらの数字は、副反応でとてもつらい思いをした、という人にとっては心強いデータだろう。
「副反応による熱や痛みは、強い順からモデルナ、ファイザー、ノババックスといったところでしょうか。ただし、接種者が増えれば新たな副反応もわかるかもしれないので、注視する必要があります」(森内さん)
■国内で製造できるため安定供給にも期待が
【供給面】
ノババックス社製ワクチンは当面、1億5,000万回分を製造すると発表されている。東北大学災害科学国際研究所の医師・児玉栄一さんによれば、供給面においても次のようなメリットがあるという。
「mRNAワクチンはディープフリーザーで凍結し、解凍後すぐに使い切る必要がありました。しかし、ノババックスのワクチンは冷蔵庫で9カ月ほど保存できるため、非常に扱いやすい。また、国内工場で製造できるので、安定供給も期待できます」
【留意点】
ワクチンによって促される免疫は2つに大別できる。1つは、体内に侵入したウイルスを攻撃し、感染を予防する液性免疫。もう1つは、攻撃をすり抜け、細胞に感染してしまった場合、その細胞を壊し、重症化を防ぐ細胞性免疫だ。
「この2段階の攻撃態勢を強化し、整えてくれるのがmRNAワクチン。組み換えタンパクワクチンは液性免疫がメーンで、細胞性免疫を強化する力が少ない傾向があります。とはいえ、1、2回目にモデルナやファイザーで細胞性免疫を獲得しているのであれば、3回目の接種はノババックスという交互接種を選択することも一案です」(児玉さん)
3年ぶりに行動制限のないなかで大型連休を迎えた今の状況を維持していくためにも、ワクチン接種を改めて検討する余地はあるかもしれないーー。