元統一教会信者で、脱会を支援する牧師が語る“ハンカチ売り”の日々と贖罪の気持ち
画像を見る 脱会した信者たちが残していった旧統一教会の書物を手にする竹迫さん

 

■大学で聖書を学ぶと、旧統一教会がいかに歪んだ聖書の読み方を教えていたのか分かった。

 

大学は中退。鬱々と日々を過ごしていると、くだんの牧師に声をかけられた。

 

「忙しくてかなわない、手伝ってくれないか」

 

彼のもとには、旧統一教会に子どもが入信してしまった親たちが、多数、相談に来ていた。

 

「それで私も、彼がいる所沢の教会に連日出向いて。相談に来た家族や、脱会を促されている信者の前で、自分の体験を、ありのままに話すようになりました」

 

実体験を交えた話を聞いて、脱会を決意する信者が続いた。

 

「これで、自分は裏切り者になったんだなと。もう、絶対に戻れないと確信しました」

 

そこで、改めて竹迫さんは聖書を読んでみようと考えた。多くの人が「旧統一教会は間違っている」と言う。ならば、聖書をきちんと読めば、彼らの言っている意味がわかると思ったのだ。しかし、旧統一教会では、聖書を独自の解釈で読んでいたという。自分たちを正当化するように、都合よく、かいつまむようにして。

 

「聖書について『正しい読み方を教えてほしい』と牧師に頼み込みました。3カ月ほど教会に通ううちに彼から『聖書のことを正しく教えてくれる学校がある』と教わったんです。それが東北学院大学のキリスト教学科でした」

 

竹迫さんは21歳のとき、同学の門をたたく。

 

「半年も学ばないうちに彼らにはまず目的があり、そのためにキリスト教を悪用していたにすぎない、そう思いましたね」

 

大学を卒業して、竹迫さんは牧師になった。

 

■本人を人間として尊重してあげれば、信者は自主的にやめていくことに気がついた

 

「最初の青森の教会で10年、その後、白河に移って今年でちょうど20年です。牧師になって以降、旧統一教会関連の相談はさらに増えました。でも青森時代、脱会支援はあまりうまくいきませんでした」

 

竹迫さんによれば、当時は脱会を促すため、信者を半ば監禁状態において、こんこんと説得を続けるという手法が主流だったという。

 

「でも、旧統一教会側も事前に予防線を張るようになって。だんだん、説得に要する時間が長くなっていった。いくら家族主導だからって、半年近くも監禁して逆洗脳みたいなことをするなんて、人道的にも許されませんしね」

 

白河教会に赴任後も、相談は相次いだ。そして、ちょうどそのころ、竹迫さんは、信者を脱会に導く手応えをつかんだという。

 

「白河に来て以降は直接対面せず、家族に『こんな話をしてみて』と指示を出して、リモート的に関わるようにしていったんです。すると、あるころからやめる信者が増えてきて。そこで気がついたんです。やめさせようとするよりも、まずは本人を人間として尊重してあげること。家族間の正しい関係性を築くことができれば、あとは本人が自主的にやめるということが、だんだんわかってきたんです」

 

なかには長い歳月をかけ、脱会に結びつけた信者もいたという。

 

「まず、家族と本人のコミュニケーションを増やすよう促しました。数年後には信者本人も、家族に心を開くように。彼は転職を繰り返していて、就いた仕事が3カ月と続かなかった。そこで私は彼の家族に『いつ仕事を辞めてもいいよ』『たとえ仕事がなくても、あなたは、あなたなんだよ』という言葉をかけてくださいと、話しました」

 

果たして、最初の相談から7年後、彼は自力で旧統一教会を脱会。いまは社会福祉士として障害者施設で仕事に従事しているという。

 

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