元統一教会信者で、脱会を支援する牧師が語る“ハンカチ売り”の日々と贖罪の気持ち
画像を見る 「脱会したものの、教団を故郷のように感じている2世も。批判的な報道に触れ、彼らはやるせない思いを募らせています」と竹迫さん

 

■竹迫さんはかってハンカチを売った家々を捜し歩いたこともあるという

 

「じつは2年ほど前、大動脈解離という病気になりまして。発症時点ですでに危なかったらしいのですが、手術中にも6分間、心臓が停止していたと。つまり私は、2度ほど天国に行きかけたわけで。そんな経験をしたからか、先のことは、あまり考えなくなりました」

 

旧統一教会を離れてからの10年間は、不眠にも悩まされていたという。そして、いまも薬の手放せない生活が続いているようだ。

 

「朝はどうにも、薬の影響なのか、ぼーっとしてしまう」

 

教会の通常の仕事だけでも多忙なうえ、竹迫さんは、信者やその家族、そして2世たちの支援活動を精力的に続けている。相談の電話が深夜に及ぶことも、決して珍しくはない。

 

心身とも満身創痍の状態で、そこまでできるのはなぜなのか。

 

「信者や2世と関わっているほうが、むしろ気持ちは楽なんです」

 

竹迫さんは、かつて自分がハンカチを売った家々を、捜し歩いたことがあるという。

 

「当時は、その日に回る場所だけを切り取った地図のコピーを渡されたので。自分が北海道のどこにいるのか、さっぱりわからなかった。ただ、地図に五角形のなにかがあったのを覚えていて。後々、あれは五稜郭だったんだと気づいたんです。それで、何度か函館まで足を運んで、かつて自分が騙してしまった人たちを捜しましたが……、結局、一軒も捜し当てられませんでした」

 

竹迫さんは贖罪の気持ちがあるからこそ、支援の手を緩めようとは、決してしないのだ。

 

「だけど、自分が実際に迷惑をかけた人とは違う人たちを、いまは支援しているわけです。自分が騙した人がどこかにいる、その事実は動かないことも理解しています。それでも、やらずにはいられない、というのが正直な気持ちなんです」

 

【後編】元信者で脱会支援する牧師「統一教会2世は、親を否定すると自分はいなくなる」へ続く

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