子ども食堂を作った宮津航一さん 養親や周囲の人たちに育てられた“恩返し”
画像を見る 子ども食堂自慢のカレーは、前日夜に美光さんとみどりさんが調理

 

■5人の里子を含めた家族9人の日常は大忙し。ごく普通の日常の積み重ねが絆を強くする

 

子どもたちが登校する朝から、宮津家は大忙しだ。朝食を終えて学校に送り出すと、洗濯機2台を回して洗濯をしつつ、事務仕事や、食材の買い出しに追われ、あっと言う間に夕方に。

 

この日の夕食は、鶏ひき肉のハンバーグに、ピーマンとちくわ、ベーコンの炒めもの、彩りにレタスやトマトを添える。

 

美光さんが手際よく料理をして、息がぴったりのみどりさんがサポートするように食材を切ったり、洗い物をしたり、盛り付けていく。

 

台所には冷蔵庫が2台あり、テーブルを縦に3つも並べている。食事のときはそこに9人が集合し、食べ終えた子どもから順次入浴しなければ捌ききれない。

 

「最後にお風呂に入るのが私やお父さん。お湯が濁っていることもあるので『ちゃんと洗って入ってね』と言っているんですが(笑)」(みどりさん)

 

特別なことではない。ごく普通の日常生活の積み重ねこそが、家族の絆を強くする。

 

「日本は血縁を大事にする文化がありますが、寝食を共にして、毎日、愛情を持って顔を合わせて生活していると、親子の感情になるもんです」(美光さん)

 

宮津家がようやく落ち着くのは夜の11時ごろ。最近は台所に夫婦と、航一さんの3人が集まる。

 

「子ども食堂の運営や、『子どもだけじゃなくて、保護者の表情もしっかり見ていなさい』などのアドバイスもあって、勉強になります」(航一さん)

 

そんな様子に、みどりさんはちょっと心配な部分もあるようだ。

 

「まだ若いから、私たちの活動のことばかりではなく、いろんなことに挑戦してほしい」

 

ただ、航一さんは自室で、実母がほほ笑む写真を見ながら語る。

 

「やっぱり両親の影響があるから、子どもに関わる仕事をやりたいって思います。これはまだ内緒にしていますが、兄たちが独立しているので、ボクが両親のファミリーホームを継ぐというのも、選択肢の一つだと思っています」

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