「60歳の患者に不妊治療したらバカにされる」と医師に言われ…日本最高齢出産女性が明かす秘話
画像を見る 20年間、記者に届けられた百合子さんとレノくんの年賀状

 

■孫の顔を見ることには執着しない。自分の介護で子供の人生を奪ってはならないと誓う

 

「母親の私とレノのツーショット写真は、ほとんどないんです。これはイスラムの文化が影響していると思います。

 

わが家の中も、両国の文化が混在。夫の母のレシピで中東の料理も作りますし、日本の味の代表は鍋でしょうか。ただし、イカ・タコ類は絶対に使いません。

 

レノが、幼いころから香水をつけるのも父親の影響。今では同じ柑橘系の香りが、わが家の男たちの象徴のようになっています」

 

レノ君は、日本の大学への入学はかなわなかったが、昨春からアメリカのオンライン大学でMBA取得を目指している。

 

国際ビジネスマンに憧れているのだという。

 

影山さん自身は、今後の生活のなかで厳守したいことがある。

 

「レノは、大学を出たら日本の大学院で学ぶのか就職か。場所は日本か親族のいるオランダ、イギリス、ドバイなんてことも(笑)。

 

ただ、そのとき、母親の私がやってはならないことは、自分の介護で子供の人生を奪うこと。

 

私自身、祖母での体験も大きいですが、万一、認知症になっても子供に迷惑をかけないよう、経済面だけでも自立していたいと、今も毎月15万円の保険料を払い続けています。まあ、認知症にならないためのお守り代わりですね」

 

こちらも20年以上にわたり、超がつく遠距離恋愛中の夫との関係を尋ねると、

 

「空気のような存在と言うわりには、今もほぼ毎日スカイプか電話で話してます。互いに名前で呼び合うのも変わりません。実は私たち夫婦は体格も同じなので(笑)、会えば洋服や靴まで着回すのも20年前と同じ。彼とは、好きなカラーもずっと一緒なんです」

 

周囲からはよく尋ねられるそうだが、孫の顔を見ることには、それほどの執着はないという。

 

「これからは、もう子供にしがみつく生活はしません。

 

まずは、コロナ明けと同時に、若いころに中断していたスペイン語の勉強を再開するつもり。大使館のスペイン語講座に電車で通うためにも、早く杖なしで歩けるようにならないと」

 

わが子と積み重ねた20年間の日々の思い出と感謝を胸に、母は80代にして、人生の第2ラウンドへ力強い一歩を踏み出した。

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