■独立したと思ったらすぐにコロナ禍に。SNSで声がけしてもらい、新しい縁も広がった
〈旅できなくなったおむすび屋さん〉
香菜さんのツイッターに、こんな一文が出現して仲間やファンを心配させたのは3年ほど前のこと。
「独立したと思ったら、1年もたたずにコロナ禍となりました。ワークショップなども人が集まるのが大前提なので、なかなかできなくなって。でも、いったん立ち止まるきっかけにもなったんですね。それで、よし、改めて日本中におむすびを見に行こうと。幸い、生活のほうはCAMPFIREでの仕事が増えたりして、しのげました」
そして2年をかけて、沖縄から東京までおむすびを握りながらまわり、47都道府県を“制覇”。
「ツイッターでまだ行ってない場所についてつぶやくと、『ウチの県へおいでよ。こんなおむすびの具に合いそうな名産も』と声をかけてくれる人が次々に現れて」
こうした活動ぶりを綴った著書の出版やドキュメンタリー映画の話も進行中とか。拒食症の闘病中は、さぞ心配したと思うが、両親も今は、
「楽しそうに働いてるね」
と、活動を見守ってくれている。
「私もいずれ結婚して、子供を育てたい。お手本は、保育士として働いていた母なんです。おむすびや食に関する仕事はこれからも続けますが、そのとき、私がそうだったように、『ママ、楽しそう』と思ってもらえるような働き方をしたい。できたら、子供と一緒に日本中をまわりたいと、そんなことも考えたりしてます」
一人で食べることの寂しさと味気なさを誰より知る香菜さんは、おむすびの旅を続けながら、人と人の縁を結んでいく。
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