この「ハチ」見たら即通報!【外来スズメバチ】の都市襲撃を専門家が警鐘
画像を見る ツマアカスズメバチ捕獲体勢(写真提供:上野高敏准教授)

 

■飛行中のミツバチを狩る生態系頂点のハンター

 

さらには養蜂業への影響も。

 

「ツマアカスズメバチの元々の故郷は、獲物が競合するだけでなくツマアカスズメバチをも襲う2種類のオオスズメバチがいる環境。強烈な競合者や天敵がいるなかで、生き残るために俊敏性や身を守る術を身につけています。ツマアカスズメバチは捕食者ですが、ミツバチが好物です。賢いのでミツバチの巣を遠くから観察し“防衛力(早朝で気温が低いなど)”が弱いときは、巣箱から出てくるミツバチをつかまえますが、防衛力が高いときは持ち前の俊敏性を生かし、たとえば、空中でホバリングしながら、飛行中で無防備のミツバチを狩ることもできます。シビアな環境を切磋琢磨して生き残ってきたツマアカスズメバチだけに、ミツバチの狩りもうまいのです」

 

ちなみに、日本で活躍しているミツバチには、西洋ミツバチと日本ミツバチがいる。
「日本ミツバチには天敵のオオスズメバチがいますから、それなりの身を守る手段を持っています。知られているのが集団で群がってスズメバチを蒸し殺す“熱殺蜂球”ですが、それは巣箱に近づいてきたスズメバチに対しては有効。ツマアカスズメバチは空中で狩りをするからやっかいです。天敵がいないぬくぬくした環境で生きてきた西洋ミツバチは防衛力が低く、簡単に捕食されてしまうと言えるでしょう」

 

ミツバチがいなくなって、ハチミツがとれなくなることも考えられるのだろうか?

 

「ツマアカスズメバチは、ミツバチの幼虫など巣全体への攻撃をしかけることはないので、養蜂業への打撃はさほど心配する必要はないと思います。ただし、養蜂業者だけなく、最近は、日本ミツバチの巣を育てる“プチ養蜂”を趣味にしている人も。頻繁にツマアカスズメバチがやってくるようになれば、かわいいミツバチの働き蜂を少しずつ狩っていくのでものすごくウザい相手。しつこくて、養蜂家にとってはストーカーみたいな厄介者と思われるでしょう」

 

■少し黒っぽいスズメバチを見かけたらすぐに通報を!

 

また、ツマアカスズメバチは、虫たちのなかでは食物連鎖のトップに位置する。生態系への影響が懸念されている。

 

現在、福岡県では、定着の“一歩手前”と言われているが、九州本土から関門海峡を渡って本土来襲ということも考えられるのだろうか?

 

「もし、福岡に定着したとすると、ここを起点に、九州北部一円から、当然、中国地方までどんどん増え始めることは間違いありません。さらに物流によって大阪や東京など日本中に広がっていく可能性もあります。

 

また、侵入したツマアカスズメバチが韓国や中国から入ってきたはずですが、それらの国とつながっているのは福岡だけではありません。海外から東京や大阪に運び込まれる荷物にツマアカスズメバチが紛れ込んでいる可能性が常にあるのです」

 

これから活発になるツマアカスズメバチを見つけたら、爆発的に増える前に駆除することがなにより重要。少し黒っぽいスズメバチを見かけたら管轄区域の環境省地方環境事務所などへの通報を心がけたい。

出典元:

WEB女性自身

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