■耐震助成額の上限が400万円の自治体も!
「94.2%」で全国1位の耐震化率を誇るのは埼玉県だ。
表内の「伸び率」は2008年時点の耐震化率からの伸び率をポイントで表したものだ。これも埼玉県は「20.2ポイント」と堂々の1位。
同県建築安全課の担当者が話す。
「埼玉県の住宅の耐震化は、住民に身近な各市町村で取り組んできました。県内63市町村のうち、61の市町で耐震診断、耐震改修の補助制度があります」
耐震改修の補助制度は3段階に分かれており(1)耐震診断、(2)耐震設計、(3)耐震工事となっている。
「市町村で異なりますが、建築士が行う耐震診断は費用の5~10割程度補助します」
対象となる住宅は、たとえば、さいたま市の場合1981年5月末以前に着工した旧耐震基準での住宅となる(住んでいる各都道府県の市区町村に問い合わせのこと)。
「改修工事では費用の2~5割程度の補助となります。県では啓発リーフレットの作成、配布、学校機関や自治会などに、『出前講座』として職員が出向いて説明するなどしています」
秋田県は耐震化率では84.8%と28位だが、伸び率は18.8ポイントと著しい。県の担当者が話す。
「東北ブロックの各県の取り組みを把握しながら耐震改修の促進を行っています。2025年度末の目標値を95%と設定し、促進に努めます」
2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県は92%と3位。仙台市は2018年度の耐震化率が96%と高い成果を上げている。
「96%という数字は東日本大震災以後の住宅需要の高まりが大きな影響とも思われ、その後は反動で伸び率の鈍化も考えられます。
旧耐震基準の建築物の築年数は、最新でも40年以上で、老朽化対策も必要ですので、さらなる啓発活動が必要と考えております」(仙台市建築指導課・佐藤匡さん)
92%の東京都では耐震改修工事の補助が高額な自治体が目につく。
港区では、1981年5月末までの木造建築物の耐震改修工事などの費用が3分の2まで、助成限度額で400万円まで補助される。1981年6月以降、2000年5月までのものは2分の1、限度額100万円まで。
中央区は住宅の耐震補強工事が工事費の2分の1、限度額300万円まで補助される。都市整備部建設課長の芳賀誠さんが言う。
「東日本大震災では瓦や外壁の落下、家屋の傾きなど、区民からの電話がひっきりなしでした。同年、東京湾大華火祭を自粛し、予算の一部を耐震補強に回したんです」
一方、火災などの大きな被害も想定される木造住宅密集地域への対策を急務とする練馬区では
「2024年度から、耐震診断の助成額の上限を12万円から20万円に、耐震改修工事の上限を130万円から270万円に、など拡充する予定です」(練馬区防災まちづくり課)
太平洋側の各県を中心に警戒されているのが南海トラフ地震だ。愛知県(91.2%)は名古屋市耐震化支援室の担当者が言う。
「南海トラフ巨大地震に備え、2003年から耐震診断は無料に。耐震改修工事は工事費の5分の4、最大100万円まで助成しています。2022年からは、耐震性の低い建物を取り壊す除却工事で、最大20万円まで支給されることになりました」