《殺処分寸前のトイプードルを警察犬に》鈴木博房さん トラウマと嘲笑に負けなかった“子犬と指導士の12年事件簿”
画像を見る 警察犬指導士の鈴木さんとトイプードルのアンズ(写真提供:岩崎書店)

 

■孫のファニーも今秋に警察犬試験を控える。目指すは「親・子・孫3代」での出動!

 

「小型犬でこんなに跳ぶのは、なかなか見たことがないでしょう」

 

アンズは、長身の記者の腰の上あたりまである段差を軽々と飛び越える。並べた5つのガーゼのうち、記者がさわったものを即座に当てるのも朝飯前だ。

 

現在、シェパード2頭、トイプードル4頭を指導している鈴木さんは、朝と夕方の1日2回の訓練を続けている。

 

「だいたい行方不明者の捜索は18時から19時になる場合が多いから、夕方の訓練のときにいちばん調子がいい犬を見極めます。

 

ところがアンズは好き嫌いがけっこうハッキリしていて、山の捜索の要請が多い警察署からの電話には知らんぷりなんです。妻は『まるで、どこの警察署からの電話か、わかっているみたい』と不思議がっています(笑)」

 

そんなアンズも12歳。人間なら還暦をこえた年齢にあたる。

 

「それでも一度出動すると、すごい集中力で、8キロ先まで追跡するほどです。まだまだ現役で活躍できると思います」

 

アンズの背中を、エリーやエディーが追いかける。さらにアンズにとっては孫となる、エリーの子供・ファニーは、今秋に試験を控えた警察犬候補犬だ。

 

そう遠くない未来、トイプードルの親・子・孫の3代での出動も、鈴木さんの掛け声とともに始まるだろう。

 

「よし、アンズ、仕事だ。捜すぞ!」

 

(取材・文:小野建史)

 

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