■米の備蓄は“国防費”と同じ
そのうえ、安全保障上の面でも大きな問題があるという。
「現在の備蓄はおよそ100万トン。これでは国民が食べられるのは、わずか1.5カ月分しかありません。にもかかわらず、“お金をかけたくない”という理由で、今後は備蓄を民間に任せようという話まで出ている。安全保障の観点から見ても、明らかにおかしい。
令和の米騒動では、日本はアメリカからの輸入米に頼らざるを得ませんでした。そもそも日本は多くの農産物を海外からの輸入に依存しています。主食である米まで輸入頼みになれば、もし供給が途絶えたとき、国民はたちまち飢えることになります。
米の備蓄は“国防費”と同じ。いざというときのための“命の備え”として、安全保障のコストと位置づけ、しっかり確保すべきです」
このまま、政府が“増産”に舵を切らなければ、国民の主食である米はどうなるのか。
「農家の平均年齢は70歳。生産を減らせと言われれば、意欲のある若い担い手も育たない。地域によっては『あと5年で米を作る人がいなくなる』という声もあります」
つまり、日本の米農家が壊滅しかねないわけだ。根本的な解決策は、「財政出動による直接支援」だと、鈴木さんは改めて強調する。
「生産者には所得補填を行い、消費者には安く米が届くようにする。両者のギャップを財政で埋める。これが一番合理的なんです。お米券を配るような付け焼き刃では、本質的な解決にはなりません。かえって米価が上がる可能性すらあります」
最後に、鈴木さんは、こう締めくくる。
「鈴木農相は、就任直後の10月22日に『財務の壁を乗り越えよう。全責任は私が負います』と、職員に向けて訓示しました。ならば言葉通り、有言実行してほしい。生産抑制ではなく、増産と財政支援で“米騒動”を根本から終わらせるべきです」
画像ページ >【写真あり】日本が守らなければいけない田んぼの風景(他1枚)
