■「24時間以内に削除を」警告DMが届いた場合の対処法
今回、顧問弁護士を名乗るアカウントから送られたとされる「24時間以内に削除しなければ法的措置」というDM。板野のケースに限らず、SNSでのトラブルが絶えない昨今、一般ユーザーがこうした警告DMを受け取る可能性もゼロではない。
一般論として、このようなDMには法的にどのような意味があり、どう対応するのが適切なのだろうか。
「DMは相手方による請求・警告であって、裁判所の命令ではありません。『24時間』も、法律が一律に定めた削除期限ではなく、相手方が設定した期限です。期限が過ぎただけで違法性が確定したり、氏名・住所が自動的に開示されたり、支払義務や逮捕が決まったりするわけではありません。慌てて支払いや個人情報の提供をする必要はありません」
法的措置が進めば、SNS事業者や接続事業者に、投稿者を特定する情報の開示が求められる可能性がある。裁判所の開示命令手続などでは、権利侵害が明らかであることや、開示を受ける正当な理由などが厳格に審査される。
「開示が認められ、投稿者が特定されれば、損害賠償請求や交渉、訴訟へ進むことがあります。ただし、開示と損害賠償は別の判断です。刑事の相談・告訴も別の手続になります」
これは決して「DMは無視していい」「悪口を書き逃げできる」という意味ではない。
DMを受け取った側は冷静になり、まずはDMと投稿全文、前後のやり取り、日時、URLを保存し、相手の身元・代理権と、どの表現の何が問題とされているかを確認することが重要だという。
もし自身に非がある問題のある投稿なら、証拠を保存したうえで速やかに削除・訂正等を検討すべきだ。削除しても過去の責任が当然に消えるわけではないが、被害の拡大防止には意味があるという。
また、今回のアカウントが用いた「24時間以内」という短い期限や強い言葉について、深澤弁護士はこう話す。
「相手を焦らせて従わせようとしたのではないか、という疑問がないわけではありません。私なら、このようなやり方はしません」
ただし、代理した弁護士と本人にしか分からない事情もある。外から見える事情だけで、弁護士に職務上の問題があったとまでは言い難い側面もある。
最後に深澤弁護士は、SNS時代における「批判と権利」についてこう指摘した。
「著名人だから人格攻撃を我慢すべきだということにはなりません。同時に、批判を受けた側が『誹謗中傷』と呼んだり、弁護士が法的措置を告知したりしただけで、すべての批判が違法になるわけでもありません。どの投稿が、誰の、どの権利を、なぜ侵害するのかを具体的に整理することが大切です。批判する側も、問題となった行動を離れた人格攻撃や、家族・子どもへの攻撃に広げないことが重要です」
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