3月14日、STAP細胞論文に多数の疑惑が浮上している問題を受けて行われた会見。理研は、科学雑誌『Nature』に発表した論文の画像が小保方晴子ユニットリーダー(30)の博士論文で使用されたものと同じだったと認定。論文撤回を勧めたところ小保方さん、共著者の笹井芳樹副センター長(52)と丹羽仁史プロジェクトリーダー(49)が同意したと明らかにした。そんななか、理研で働いていたという元“同僚女性”が証言する。

「彼女は責めを負うべきですが、1人だけが責められるべきかと言われるとそれは違う。まだ業績もない30歳の女性がユニットリーダーに抜擢されるのは異例で、その際は上司がサポートに入るのが通常。つまり今回の陰には研究を仕切った裏のボスがいるんです。それに共同研究者たちも、チェックをしなかったから同様です。なぜ誰も気づかなかったのか。実は共同研究者は自分のデータを渡せば『あとはお任せ』ということが多いんです」

たしかに共著者14人のうち誰かがチェックしていれば、事態はここまで大きくならなかったはずだ。実際、STAP細胞の国際特許出願は昨年すでに行われている。1年もチェックの機会がありながら、理研が委員会を設置したのは2月18日。疑惑が噴出した後だった。

「理研では予算獲得競争があり、結果を出さなければ予算を削られる。研究員は1~5年の契約を結び、期間が切れれば更新はほぼない。期間内に結果を出さなければ次の就職先を見つけにくくなるため、みんな必死。成果が出ると、研究員から嫉妬を抱かれることも。この世界では“コピペ”は誰でもやることで、引用元を明記すれば悪いものではない。でも、引用ではなく自分のものとして使うかは、個人のモラルにかかわってきます」

 理研ではこれまでも不祥事が報じられてきた。04年には元理事長の研究費不正流用とセクハラ、06年には1937名もの職員による手当の不正受給。その後も架空取引による背任事件などが問題になっていたという。今回も竹市センター長は、彼女の抜擢について「インパクトを感じて採用した」と語っている。“若い女性の斬新な研究発表”は、補助金獲得のための格好の材料となる……。そんな考えがチェックを甘くしたとは言えないだろうか。

論文が撤回されようとしている今、いちばん注目を集めているのは「果たしてSTAP細胞は本当に存在していたのか」ということだ。

「もう一度正しいSTAP細胞の論文を出し、存在を証明できれば挽回できます。でも、もし証明できなければ……今後、小保方さんを採用してくれる研究所はなくなるでしょう。つまり研究者としての人生は終わります。彼女にとって、ここが最後の正念場なのです」

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