肺胞出血のため2月26日に亡くなった元TBSアナウンサー・山本文郎さん(享年79)の「引退式」が8日、都内で行われた。この引退式は、生前の山本さんと妻・由美子さん(48)との間で交わされた約束だった。“生涯現役”をモットーに掲げていた夫に対し、由美子さんは「あなたにお葬式は似合わないから、亡くなった後に私が引退式をするから」と、約束していたのだ。
97年に前妻を亡くした山本さんが、31歳年下の由美子さんと再婚したのは08年7月。由美子さんも再婚で、2人の息子を連れて山本さんと結ばれたのだった。
引退式でのあいさつで、由美子さんは、自身が今後タレント活動をしていくこと、また息子たちにもテレビの仕事に携わってほしいという思いを語っていた。“タレント転身”とも報じられたこの発言の真意を、由美子さんは次のように明かす。
「主人は、子供たちに『アナウンサーでなくともいいから、テレビに関われよ。テレビの仕事をお前たちにもしてもらいたいんだ』と言っていたんです。それが伝わっていたのか、大学生の長男が『(TVの仕事を)やってみたい』と言ってくれました」
家族にテレビの仕事に携わっていてほしい――、これは山本さんのいわば“遺言”でもあったのだ。由美子さんは夫からアナウンスの手ほどきも受けていた。
「私は司会の仕事、通販や旅番組での共演を通じてアナウンサー山本の教えを受けた“最後の生徒”なんです。テレビ出演にこだわり続けた夫のぶんも、彼が愛した仕事を私が続けていこうと決めました。でも、私一人ではまだまだで。引退式のあいさつも、山本がみていたら『お前、きちんと話せなかったな』と言われたかもしれませんね……」
テレビに映る最愛の妻の奮闘ぶりを、山本さんが空から優しく見守っているはずだ。