『たのきん全力投球!』(TBS系)でのひとコマ 画像を見る

住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、青春時代、アイドルの素顔が見られた話。活躍する同世代の女性と一緒に、“’80年代”を振り返ってみましょう――。

 

■スターの人間味あふれる姿に興味津々

 

「娯楽が映画からテレビの時代に移り変わっていった’60~’70年代、まったく手の届かない存在だったスターが、お茶の間でも見られる存在へと変化していきました。そうなると、笑う顔や驚く様子といった、スターの人間味あふれる素の姿に興味が湧くもの。’80年代前後から、人気歌手やアイドルがコントに挑戦するバラエティ番組が一気に増えたのは、そんな視聴者の欲求が背景にあったのではないでしょうか」

 

こう話すのは、世代・トレンド評論家の牛窪恵さん(54)。

 

そういった番組の代表格といえるのが『8時だョ!全員集合』(’69~’85年・TBS系)や、『カックラキン大放送!!』(’75~’86年・日本テレビ系)だろう。

 

「『全員集合』では聖子ちゃんや明菜ちゃん、キョンキョンがドリフのメンバーとともにコントを繰り広げ、早口言葉や体操のコーナーでも奮闘しました。『カックラキン大放送!!』も番組内コーナーの『刑事ゴロンボ』が人気を博した野口五郎さんと、郷ひろみさん、西城秀樹さんの新御三家が出演していた伝説の番組です」

 

これらの番組は軒並み高視聴率をマーク。

 

「『カックラキン大放送!!』の放送作家だった玉井貴代志さんはほかにも、あのねのねや片岡鶴太郎さんが司会を務めた音楽バラエティ『ヤンヤン歌うスタジオ』(’77~’87年・テレビ東京系)や『たのきん全力投球!』(’80~’83年・TBS系)など、多数の人気番組を手掛け、一時代を築きました」

 

たのきんトリオはふだん、グループではなく個人で活動していたので、ファンにとって、『たのきん全力投球!』のオープニングで3人がそろって歌うシーンはプレミアもの。視聴者観覧型だったため、観客が一斉に立ち上がり、本番中にもかかわらず写真を撮りまくる姿が見られたほどだった。

 

「『たのきん全力投球!』には聖子ちゃんも頻繁にゲスト出演しました。コントのコーナーで、聖子ちゃんがトシちゃんを上目遣いでかわいらしく見つめると“やっぱりあの2人、付き合ってる!?”と、妄想を掻き立てられたものです」

 

’80年代後半になると、歌番組の衰退もあり、アイドルはますますバラエティ番組に活路を求め、ときには体を張ったレポーター役などにも挑戦するようになる。

 

「現在はさらにトーク力や、情報番組でのコメント力など、総合力が求められるようになりました」

 

時代の移り変わりにより、アイドルのあり方も変貌を遂げるのだ。

 

【PROFILE】

牛窪恵

’68年、東京都生まれ。世代・トレンド評論家でマーケティングライターとして『ホンマでっか!?TV』フジテレビ系)など多数の番組で活躍

マーケティングライター、世代・トレンド評論家

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