■周りに流されていた子供時代
毎週、家族で楽しみにしていた『ザ・ベストテン』。まわりではシブがき隊や少年隊が人気だったが、とくに好きなアイドルがいるわけでもなかったとか。
「個性がないから主体性もなく、まわりに流されやすい子でした。友達の誰かが『○○のファン』って言ったら、『私も』って、下敷きにそのアイドルの雑誌の切り抜きを挟むくらい。みんなに合わせていくうちに、いろんなアイドルの記事を切り抜くハメになっちゃって」
初めて買ったCDも、適当に選んだものだったという。
「あんまりお金のない家だったので、父がローンを組んで高いステレオを買ってしまったときは、母がめちゃくちゃ怒って……。父はショボ〜ンとしていたんですが、せっかく買ったんだから、使いたいじゃないですか。電器屋さんがギルバート・オサリバン(ポップス歌手)のCDをつけてくれていたのですが、これじゃあないよねってCD店へ。棚を“ア行”から見て、最初のほうにあったアルフィーのCDを買いました」
アルバムのタイトルは忘れてしまったが、『星空のディスタンス』(’84年)が収録されていたという。
「聴いてみると、すごくカッコよくて。とくに高見沢(俊彦)さんがハイトーンボイスで歌う曲が好きで、それをよくマネして歌っていました。すると、うちで飼っていた犬が、決まって遠ぼえを始めるんです」