「こんにちは。今日はよろしく」
ふっくらとした白い肌に穏やかな声。つえこそついているものの、高木ブーさん(88)は、視聴率50%超えの伝説のオバケ番組『8時だョ!全員集合』(TBS系)以来おなじみの温かさでほほ笑んだ。
9月15日午後3時。
「“ドリフ時間”というのがあって。ドリフはなんでも3時からだったんです。午後3時に集合して、そのあとは夜中まで打ち合わせや稽古が続きましたから」
その習慣はいまも続いている。インタビューに付き添ってきたひとり娘のかおるさん(58)も、言葉を添えた。
「ドリフ時間はいまでもそうで、加藤(茶)さんや仲本(工事)さんと会うときも『じゃ、3時で』となります」
だから本誌インタビューのスタートも午後3時。
『ブー横丁』なる通りまである地元・新宿区早稲田から近いということで、光文社会議室でのインタビューとなった。
ハワイから送られてきた新作アロハに身を包み、指には、芸能界に入って初めて買ったというアクアマリンの指輪、バッグには、高木さんの当たりキャラ“雷様”のキーホルダーがついている。
3月8日に米寿を迎えた。
その日のインスタグラムで、8本のロウソクを前に、黄色の「HAPPY BEIJU」のトレーナーを着た自身の写真を公開。メッセージも意気盛んだ。
「とうとう88歳になってしまいました。でも、僕にとってはまだ通過点と思っています。100歳のウクレレ弾きを目指して頑張りますので、これからもよろしくお願いします」
実際、米寿の今年は、さらなる活躍を示唆する仕事が次から次へと続いている。3月6日には、ニコニコ公式生放送で『高木ブー88歳だョ! 全員集合』の有料ライブイベント。加藤茶、仲本工事のドリフメンバーはもちろん、ももいろクローバーZ、大槻ケンヂなど、世代を超えて交流のある若いメンバーも参加した。
高木さんのウクレレ演奏が、中学の音楽教科書の副教材のDVDに収録されたのも4月からだ。
7月には、『高木ブー画集 ドリフターズとともに』(ワニ・プラス)を出版。30年以上、描きためられたドリフメンバーの生き生きとした姿や『全員集合』の名場面が約120点掲載され、話題になった。
9月26日には『ドリフに大挑戦スペシャル』(フジテレビ系)で23年ぶりに、当たり役の雷様に扮して、コントを披露している。
荒井注さんは71歳(00年)で、いかりや長介さんは72歳(04年)で、いちばん年下だった志村けんさんは70歳(20年)で鬼籍に入ってしまった今、ドリフメンバーの最高齢となった高木さんだが、その快進撃は止まらない。
かおるさんがうれしそうにこう言った。
「父が頑張っているのを見て、先日も加藤さんが『ブータンが88歳まで頑張れるんだから、俺もできるかな』と、話していました」