「誰も僕をライバルだと思わない」「テレビは学芸会」勝俣州和語る芸能界37年“ファン0人説”も生き残れた本当の理由
画像を見る 新宿「バティオス」で萩本の舞台に出演する勝俣。事前打ち合わせなしで舞台に上がり、萩本の振りにアドリブで返す(撮影:加治屋誠)

 

■師匠・萩本の告白「アイツは人の気持ちを読めるんですよ。察する力がある」

 

以降、年下の勝俣が歯に衣着せぬ発言で“ゴッド姉ちゃん”に果敢に突っ込み、和田の新たな一面が引き出されていった。

 

「この前、アッコさんが『勝俣はワシのことをゴリラ、ゴリラって言うのに、なんで許されるんや』と怒っていたから、『みなさんが喜んでるからです』と返しました。そしたら『……そうだな』と納得してました(笑)」

 

勝俣の「毒をもって毒を制する」行動は視聴者に受け入れられた。

 

「ばあちゃんに『陰口を言っちゃいけない』と教えられてきたから、毒のある言葉は本人の前で言おうと心掛けています。笑ってくれたら、オーケーなんだなって」

 

大俳優への誹謗中傷の歯止めにも一役買った。昨年、『朝だ!生です旅サラダ』(テレビ朝日系)で共演していた神田正輝が痩せ細り、ネット上で「重病説」が流れた。「ファスティング(断食)が原因」と聞いていた勝俣は「自分でコメントしちゃったほうがいいですよ」と助言し、自身のYouTubeチャンネルに出てもらった。すると、雑音は収まった。

 

「テレビだと、長く説明する時間を取れない。だからといって、そのままにしておくと、臆測だけが先走ってしまう。弁明にYouTubeを使ってほしいなって」

 

振り返れば、萩本の言うように勝俣はプロデューサーのような役割を果たしてきた。

 

「アイツは人の気持ちを読めるんですよ。察する力がある。それこそ『聞いちゃダメ』でね。俺にもいきなり舞台で突っ込んでくるからそれが心地いいんだよ」(萩本)

 

そう褒められても、勝俣は他者への感謝を口にする。

 

「いろいろな人に恵まれたんですよね。25歳くらいのころ『CLUB紳助』(朝日放送)というトーク番組に出たら、島田紳助さんが『お前、おもろいな。たくさんネタあんのか? ないなら、貯めろ』とアドバイスをくれたんです。それから学園祭に呼ばれても、1時間ずっとフリートークをして、受けたモノをキープしていきました」

 

その成果は、トーク番組『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)の最多出演記録となって表れている。数年前には、笑福亭鶴瓶が貴重な助言をしてくれた。

 

「飛行機で会ったとき、『ちゃんとロケに行ってるな、えらいな。スタジオにネタは落ちてないぞ。ロケは続けろ』って」

 

教えを忠実に守り、ロケバスでも寝ずに共演者やスタッフと会話をする。そして、勝俣には萩本の言葉が常に頭にあった。

 

「欽ちゃんが『一生懸命やっていれば、誰かが見ている。でも、手抜きをしても誰かが見ている』と言っていたんです。一緒の番組が終わって数年たった後、スタッフから『今も、勝俣の番組をチェックしているらしいよ』と聞いた。いいプレッシャーになりましたね」

 

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