■萩本の“遺言”――「私の弔辞は勝俣に最初に読んでほしい」
事務所や出身地など関係なく、さまざまな大御所が助言をしてくれる。常に番組を第一に考えて動くため、出演者から好かれるのか。
「誰も、僕をライバルだと思ってないんじゃないですか(笑)。周りが大手事務所という巨大空母で戦ってる芸能界に、僕はビート板一枚で出ていきました。所属が柳葉さんや木村多江さんたちの俳優事務所で、バラエティ班は1人だけなんです。逆に言うと、スタッフが使いやすかったのかもしれない。大手所属だと、ライバル会社の大御所の番組には出にくいじゃないですか。
テレビは、いちばん好きな遊び場です。仕事と思うから、疲れるんですよ。発表の場、学芸会ですから。僕にとっての仕事は、何か考えてるときかな。休みの日、家にいたら『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを見ながら、自分なら何を言うか頭をフル回転させています。ものすごく疲れるから、バラエティは長く見られないですね」
NHK連続テレビ小説にもトレンディドラマにも出演し、『紅白歌合戦』にも応援で出演。それでも、まだやり残したことがある。
「テレビだと、『大河ドラマ』『情熱大陸』『帯番組のメイン』の3つです。今、欽ちゃんのもとで猛特訓をしているからテレビでの言葉遣いや対応が自然と変わってるかもしれない。違う筋肉ができているんじゃないかって。近い将来、帯のメインが来る気もしています(笑)」
萩本は、今後の勝俣に何を期待するのか。
「私の弔辞は勝俣に最初に読んでほしい。葬式って暗くなるから、楽しくしてほしいの。
あと、正月に『83歳の欽ちゃん!最後の新番組 あの場所に1000人で集まろうか?』(日本テレビ系)を放送したけど、あのテレビを勝俣にあげたいね」
師匠の言葉を勝俣に伝えると、こう答えた。
「僕が先に死にたい。そして、欽ちゃんに弔辞を読んでほしい。今でも、何かに迷ったとき『萩本欽一なら、どっちを選ぶだろうな』と考えるんですよ。僕にとって、いなくなったら困る人です。番組をくれるんですか? ああ、それはないでしょうね。だって昔、『仮装大賞は勝俣にあげる』と言ってたけど、結局くれないですから」
そう笑う勝俣。60代も変わらず短パンで芸能界を駆け抜ける。
(取材・文:岡野誠)
【後編】「家族にとって最大の敵」芸能界37年の勝俣州和が元客室乗務員妻のため「やめた趣味」へ続く
