■外出時には最愛の妻との“お出かけのキス”を欠かさない
最愛の妻とは、今も“お出かけのキス”を欠かさないそうだ。
「もう、当たり前の日常。女房が外出するときは、ほっぺを合わせるの。女房はお化粧をしているから、それが落ちないようにね」
奥さんとのキスは、芝居という“戦場”へ向かう“火打ち石”代わりのお守りなのかもしれない。
「女房は今、18歳半の愛犬の介護をしています。その介護が終わったら、夫婦でゆっくりと国内旅行をして、のんびりしたいですね」
とはいえ、夫婦旅行はしばらく先になりそうだ。
現在、小日向さんは’14年からレギュラー出演中の連ドラ『緊急取調室』(テレビ朝日系)の撮影中。また31日には映画『盤上の向日葵』の公開が控えている。
そして長男・星一さんと次男の春平さんはともに俳優の道に進み、名優である父の背中を追っている。
「息子たちも、自分の納得のいく役者人生になればいいなと思っています。僕が映像の仕事を始めたのが42歳だから“まだまだ慌てるな”と伝えています。
僕自身、俳優の山の頂上すら見えていません。今も、ほかの俳優さんの芝居を見て、焦ったり、悔しくなったりしますから」
今年3月放送の主演ドラマ『わが家は楽し』(TBS系)では脚本家の山田洋次さん(94)、石井ふく子プロデューサー(99)といった生涯現役の大先輩の姿に感銘を受けたという。
また、映画『国宝』にも触発されたと熱弁する。主演の吉沢亮とは『ばけばけ』でも共演中だ。
「吉沢くん、横浜流星くんの2人が、命を削って作品に取り組んだのが伝わってきました。吉沢くんとは『ばけばけ』の現場でいろんな話もできたし、僕、サインもらっちゃいました(笑)。
今の僕が『国宝』の吉沢くんの役を演じるのは無理だから冷静に見られたけど、同じ世代だったら、正直、悔しくて悔しくてしょうがなかったと思う。
身を削るような作品が今来たら背負えるだろうか。いや背負わなきゃいけないなと、自問自答するほど刺激を受けましたね」
70代の今も全力で走り続けられるのは、人生の伴侶の存在があったからこそと笑顔を見せた。
「女房と2人での夕食では『こんなの食べたい!』と言うと作ってくれる。本当においしいんです。お店みたいで。今日は何を作ってもらおうかな~」
家族との時間が小日向さんの元気の源だ。松野家が1杯のしじみの味噌汁で幸せになるように。
(取材・文:川村一代/ヘアメーク:河村陽子/スタイリスト:石橋修一)
画像ページ >【写真あり】次男・春平さんの誕生日を長男・星一さんと共に家族でお祝いする小日向文世(他7枚)
