■「人生がまた面白くなった気がする」
いまはすっかりチェンジしたと言い切れる。
「粗食とバランスのよい食事を心がけ、先生の言うことをよく聞くのがいま生きている秘訣です」
そして一日一日を大切に生きるようになった。
「昔は先輩から言われたことや嫌なことを引きずっていましたが、『楽しい仕事だけを、応援してくれる人とやっていこう』と切り替えるようになりました。がんのおかげで、また人生が面白くなった気がします」
よく通る声で朗らかに語る山田さんは美肌で姿勢もよく健康そのもの、といった印象。秘訣はいたってシンプルだ。
「がんになってから友達が『電車に乗りなさい』とお見舞いにSuicaカードをプレゼントしてくれて、それ以来電車を乗りこなし、よく歩くようになりました」
早足でウオーキングし、深呼吸を心がけ、ショーウインドーに映った姿で姿勢を確認しながら2万歩歩く日もあるという。
「東京の銀座や大阪の船場といった、自分にとって気持ちが上がる街を歩くのが楽しいですよ」
歩くほどに体力もついてきた。
今年は豪華客船で、1日4回のショーをやりとげた。そしていまは第11代会長を務める日本喜劇人協会の公演で、後輩芸人や役者たちと台本・演出を手がけるだけでなく、衣装や小道具の調達ほか、さまざまなアイデアが頭の中を駆け巡っているという。
7月22日には「日本喜劇人協会が贈る 2026年の夏! 山田邦子の歌と笑いは地球を救う!」を、昼・夜の部でサントリーホール ブルーローズで開催予定(全席指定)と、精力的に活動している。
仕事の合間を縫って通院を年1回から月1回に増やし、健康チェックは怠らないという。
「病院を卒業したい人が多いけれど、私は離れません! 正常な状態を知るためにも、マメにレディースクリニックへ通っています。やや厳しめの相性のよいドクターに相談に乗ってもらっています」
がんをテーマにした講演はこの19年間で約1千回に及ぶ。ピンクリボン運動や患者会で、がんに罹患した人たちに「大丈夫だよ」と声をかけ続ける。
「最初に聖路加の先生に言われて救われたので、私も同じ言葉を伝えたい。抱え込まずに、明るく好きなことをして過ごしてほしい」
乳がんの術後には下着選びや乳房再建の検討、アートメークなど、見た目で悩むことも多いが、山田さんはこうアドバイス。
「私はソフトブラを愛用するようになり、これが心地よかったからか、若いころは巨乳だったのに自然な脂肪になって流れていってしまったみたい(笑)。いまは形成外科で傷痕もきれいに修正でき、術後の悩みに対応するアピアランスケアも充実しています。『がんになったから』といって諦めなくてもいい優しい時代になっているんですよ!」
山田さんのキラキラした笑顔と「大丈夫だよ」という言葉は、多くの患者に希望を与えている。
【PROFILE】
山田邦子
タレント、お笑い芸人として一世を風靡。46歳で両胸に3つの乳がんが発見され、寛解。サバイバーとして約1千回の講演活動を行う。
(取材・文:本荘その子)
画像ページ >【写真あり】これまでがんをテーマにした講演会を1千回行った山田邦子(他1枚)
