■「私原作で桜壱さんが描いてくれたら、うれしいな」
夫婦の一日は、早朝4時半、×華さんと愛犬ピノの散歩に始まる。
「人の顔覚えられないし、犬の名前も覚えられないから、人から声をかけられない時間帯を選んでいるんです」(×華さん)
桜壱さんは、×華さんが散歩から帰るまでに、家事を済ます。
「沖田はなぜか洗濯だけはするんですが、それ以外の家事はダメ。物をのけないで、突き飛ばしながら掃除機かけたりするから、意味がないんですよ」(桜壱さん)
朝食が終われば、夕方までお互いの部屋で、それぞれ仕事に向き合う。夕方5時くらいから夕食。外食が多いが、7時には帰宅して、テレビを少し見て早々に床に就く。
周囲となじめず孤立してきた×華さんにとって、桜壱さんとの絶妙な距離感を保った、穏やかな日々が心地いい。
「20年以上、一緒にいますけど、もう四六時中、同じ空間にいるから濃いですね」(桜壱さん)
「でも、基本的に別々。ご飯食べるときだけ一緒。個々の距離感を尊重してくれる生活っていうのが、私にはすごい合っているんだと思う」(×華さん)
仕事面でも、お互いリスペクト。いずれは夫婦合作もありえるのか。
「いやあ、ジャンルも絵も違うから」(桜壱さん)
「でも、私の原作で、桜壱さんがバイオレンスものとか描いてくれたらうれしいな」(×華さん)
困った顔の桜壱さんに、×華さんは屈託のない笑みを送った─。
(取材・文/小野建史)
