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「私が『陛下と私は、ほぼ同い年ですなあ』とお話しすると、陛下のお顔がほころんで『やあ、そうですねえ』とお答えになりました」

 

そう語るのは、京都仏教会代表理事で、相国寺や金閣寺の住職も務める有馬頼底さん(86)。

 

天皇皇后両陛下は3月25日から京都・奈良を訪問された。その初日、両陛下が近畿地方の首長やゆかりの人々などを京都御所にお招きになり、茶会が開かれた。そこに有馬さんも出席したのだ。

 

お二人の出会いは80年以上も前に遡る。幼稚園に入って2年目の有馬さんが、翌年から入園される陛下(当時は皇太子殿下)の遊び相手8人のうちの1人に選ばれた。月に1~2回、朝から教師に引率されて東宮御所へと向かったという。

 

「御所の庭でもらったビスケットを食べながら待っていると、小柄な陛下が三輪車に乗ってお見えになるのです。陛下と一緒に泥だらけになってブランコや砂場で遊んだものでした。取っ組み合って相撲を取ったのもよく覚えています。帰り道、友人に『お前、東宮さまを殴っただろう』と言われて、『相撲で投げ飛ばしただけだ』と口論になりました。すると先生が『お相撲の勝負だから仕方がないだろう』と仲裁に入ってくれました。今ではいい思い出です」

茶会では、有馬さんが金閣寺の住職を兼任していることを伝えると、陛下は「焼ける前の金閣寺を拝見しております」とおっしゃったという。

 

「私は『退位なされたら、ぜひ、修復した金閣にもおいでください』とお誘いしました。さらに『ご退位後は自由になられるのですから、ご先祖様のいらっしゃる京都に1年の半分くらいでも、お住みになってはいかがですか』とご提案させていただくと、陛下はやっぱり『そうですねえ』と笑顔でうなずかれていました」

 

有馬さんは昨年の9月、日仏友好160周年の記念行事に出席するためフランスを公式訪問された皇太子さまにも同行した。

 

「相国寺にある承天閣美術館所蔵の寺宝を出展した関係で、案内役の一人を務めました。エッフェル塔の点灯式では、皇太子殿下がボタンを押すことになっていました。しかし、トラブルで1時間以上も待たされることになったのです。関係者はヤキモキしていたのですが、殿下は焦ることなく、むしろ周囲に笑顔で話しかけ、場をなごませていらっしゃいました。しかもそのあとのスピーチでは流暢なフランス語も披露されました。フランスでの立ち居振舞いを拝見して、御代替わりとなっても、この方が即位なされば皇室は安泰だと思いました」

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