安倍氏銃撃で高まる皇室へのテロの危機…それでも両陛下が「警備の大幅増強」を拒まれた理由
画像を見る 75年に沖縄で活動家から火炎瓶を投げつけられた上皇上皇后両陛下(写真:共同通信)

 

■地下鉄サリン事件直後は皇族と国民に距離が

 

「’95年のオウム真理教による地下鉄サリン事件は皇室にも大きな影響を及ぼしました。教団幹部の一斉逮捕が始まると同時に、信者たちの報復テロに備え、皇室関連施設にも警察官が大量動員されたのです。

 

当時、皇太子でいらした天皇陛下と雅子さまは、ご成婚から2年ほどで人気も非常に高く、地方行啓などでは、地元の人々も奉迎のために大勢集まってきました。しかし駅頭でも、地下鉄サリン事件以前より両陛下と奉迎者たちの距離を広げざるをえなかったのです。

 

『こんなに離れていたら、奉迎者から皇太子ご夫妻のお顔が見えないのではないでしょうか』といったことを、警護に当たっていた警察官と話したこともありましたが、地元の県警関係者らも苦慮しているとのことでした。

 

仕方がないこととはいえ、両陛下も歓迎のために集まってくれている人々とふれあうことができず、残念に思われていたことでしょう」(前出・皇室担当記者)

 

現在の宮内庁長官を務めている西村泰彦氏は元警視総監。警察庁入庁後は警備畑を歩み、オウム真理教への強制捜査を指揮していた人物だ。

 

地下鉄サリン事件直後は警視庁警備第一課長として、山梨県の教団施設に機動隊を派遣。また退官後は内閣危機管理監も務めた。

 

“警備のプロフェッショナル”でもある西村長官の、皇室をとりまく危機とその警備体制に関する見解には注目が集まっていたが、7月14日の記者会見でこう語ったのだ。

 

「皇室の皆様への攻撃を想定したうえで警備計画を立てており、現場ではそれを防ぐ措置はとっています。(安倍元首相の)事件で、大きく変わることはないと思いますが、(警護関係者には)教訓を生かせるならば生かしていただきたい」

 

警護の大幅増強はない、という見解だったが、この発言は天皇陛下と雅子さまのご意向を受けてのものだという。

 

「警護を務めるのは皇宮警察、警視庁、お出かけ先の道府県警で、宮内庁長官が直接指示をすることはありません。しかし西村長官の経歴を鑑みると、今後の警護方針をしっかりと把握したうえでの発言であることは間違いありません。

 

また西村長官は会見で『国民と皇室の間に壁を作ってしまうのは、今までの皇室のあり方からありえない』『国民との親和を妨げない形でいかにご身辺の安全を確保するか……』などとも、語っています。

 

これらの発言も、『テロの脅威に屈して、国民から離れたりしない』という両陛下のお考えをしっかりと確認したうえでのものでしょう」(前出・宮内庁関係者)

 

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