「皇室典範改正への動きは20年近く滞っていました。しかしいま、国会でも重要な局面を迎えようとしているのです」
そう語るのは神道学者で皇室研究者の高森明勅さん。
懸念されてきた“皇統の危機”については、天皇陛下も今年2月の記者会見で言及されていた。
「現在、男性皇族の数が減り、高齢化が進んでいること、女性皇族は結婚により皇籍を離脱すること、といった事情により、公的活動を担うことができる皇族は以前に比べ、減少してきております」
皇室の未来や、愛娘・愛子さまや姪の佳子さまらご親族の人生に関わる重要な問題であるにもかかわらず、政治的な発言を控えざるをえない陛下にとっては、苦悩の日々が続いている。
だがこの春、長年の懸案が解決に向けて進展する見込みがあるという。高森さんが続ける。
「動きが本格化したのは昨年10月です。まず額賀福志郎衆議院議長が、就任に際しての記者会見で、『立法府としての考え方を整理していきたい』と発言しています。
さらに臨時国会の所信表明演説で岸田文雄首相が『立法府の総意が早期に取りまとめられるよう』呼びかけ、自民党内の懇談会でも意見集約を進めています。
懇談会は、女性皇族が結婚後も皇室にとどまることや、旧宮家の男系男子を養子とすることを可能にする皇室典範改正を視野に検討を進めています」
かねて岸田首相は「皇室典範の改正は私の代でしっかりやらないといけない」と語っていたという。
「岸田首相にとっては“レガシー(政治的遺産)”になりますし、国民からの人気が日に日に高まっている愛子さまが、ご結婚後も皇室に残ることができる選択肢が生まれます。皇室典範改正を実現させて、内閣支持率の回復につなげたいという思惑もあるのでしょう」(全国紙政治部記者)
また3月15日には“異例の人事”も発表された。昨年9月まで、内閣官房参与と皇室制度連絡調整総括官を務めていた山﨑重孝氏が両ポストで再任されたのだ。
「同じ内閣で、わずか半年での復帰はきわめて異例。林芳正官房長官は記者会見で、与野党で安定的な皇位継承の確保などに関する検討が進んでいると説明したうえで、『皇室制度に関係するポストを歴任した山﨑氏を改めて任命し、国会の議論を受けた政府の対応に助言をいただく』と語りました」(前出・全国紙政治部記者)