「賀陽家といえば、当主筋の賀陽正憲さんのご家族だけと思っている方も多いと思いますが、実は分家も存在していて、私もその一人なのです」
本誌の取材にそう明かしたのは、賀陽健氏(仮名。以下、健氏)。賀陽家は終戦後の1947年に皇籍を離れた11宮家の一つだ。
自民党は、国会で議論されている皇族数の確保策の一つとして、旧宮家の男系男子を養子縁組などによって皇籍に復帰させる案を提唱しており、旧宮家という存在に注目が高まっている。
そのなかでも賀陽家は、当主・正憲氏が天皇陛下のご学友であり、正憲氏の2人の息子が、愛子さまの“お婿候補”として報じられたこともあって、皇籍復帰の最有力候補と目されているのだ。
健氏は、その賀陽家の一員であるという。現当主・正憲氏の祖父である賀陽宮恒憲王には7人の子供がおり、その一人が’09年に逝去した賀陽美智子氏(旧名・美智子女王)だ。
「血縁はありませんが、私は美智子女王殿下の孫にあたり、お墓もお守りしており、祭祀を継承しているのです」(健氏)
健氏の活動については、3月27日発売の『週刊文春』が報じているが、記事によれば、当主・正憲氏は健氏を“賀陽家の人間として認識していなかった”という。
「正憲さんには、どういった形でご挨拶すればよいのか、いま考えています。ご自宅に伺うのか、お手紙を出すのか、それとも私がある程度成功をおさめてからご報告すべきなのか、時期も含めて考えています」(健氏)
健氏のフェイスブックには天皇皇后両陛下のお写真が掲載されており、《旧皇族 賀陽宮家》といった記載もある。また「幸福の科学」の創始者である故・大川隆法氏にも傾倒しているとも読める投稿もあった。
健氏は’23年に政治団体を設立し、政治家との交流を求めて永田町にも出入りしているという。
「政治団体については立ち上げたものの、いまは休業中です。現在は個人として、日本建国の精神の八紘一宇(※全世界を一つの家のようにするという考え)と、天皇の大御宝(※天皇治下の国民)と大御心(天皇のお心)の2点について広く普及活動をしています。
この年初にも、林芳正官房長官や、防衛大臣などをはじめ、ほとんどの大臣方の事務所にはご挨拶に行っています。皇統の問題について、衆議院議長や参議院議長を含めて議論していますが、私なりの解決案を進言したりしているのです」(健氏)
名前が挙がった林官房長官、中谷元防衛大臣はいずれも、“養子縁組案”を推進する自民党の大物政治家だ。健氏も旧宮家男子の皇籍復帰については賛成しているという。
「おおいに復帰していただいたらいいと思います。正憲さんのお子さん2人も復帰したらいいと思いますが、いまは一般人ですので、宗教的な勉強なども必要だとは思います。
私は救世主としての活動をしています。愛子さまも、この日本と地球を救う救世主になりうるお方だと思います。もし正憲さんのお子さんが愛子さまと結婚した場合は、私も親戚になるのです」
こうした話を熱心に語る健氏だが、旧宮家の男系男子の皇籍復帰について懸念する声もある。神道学者で皇室研究者の高森明勅さんはこう語る。
「旧宮家といってもすでに一般国民になられた以上、これまでビジネスや宗教、政治などにかかわり、さまざまに利用されることもあったなかで、失礼ながら首をかしげる事例もありました。
自民党などが旧宮家男子の皇籍取得策を推し進めようとすれば、そうした事実が再び注目されます。また皇室のイメージを利用するために旧宮家に近づく不心得者が現れて、皇室への国民の敬愛の念を損なうことにつながりかねません」