新年度となった4月7日、天皇陛下と雅子さまは硫黄島を日帰りで訪問される。6月には沖縄県と広島県、9月に長崎県に足を運ばれる予定だが、令和の“慰霊の旅”の始動が、ついに目前となった。
「第二次世界大戦を経験されている上皇ご夫妻は、即位後の1994年2月の硫黄島ご訪問から、戦争で亡くなった御霊を追悼する“慰霊の旅”を始められています。戦後80年の今年、天皇陛下と雅子さまは戦争を知らない世代として、上皇ご夫妻の旅路を引き継ぎ、戦争の記録と記憶を受け継ぐ国内外の各地で、祈りを捧げられます」(宮内庁関係者)
第一歩として両陛下が向かわれる硫黄島は、小笠原諸島南部に位置する30平方キロメートルほどの広さの島。大戦末期の1945年春、旧日本軍とアメリカ軍合わせて約3万人が命を落とすほどの、激しい戦闘が島内で繰り広げられた。
戦前は1100人ほどが暮らす、のどかな島だった。しかし戦局の悪化とともに全島の要塞化が進み、島民のほとんどは強制的に疎開。軍属として徴用された男性103人が島に残り、そのうち82人が、戦闘に巻き込まれて犠牲となっている。
両陛下は、硫黄島島民平和祈念墓地公園でも拝礼される予定だという。この公園は戦火に巻き込まれて亡くなった82人と、元島民の祖先を祀る場となっている。
前出の宮内庁関係者は、
「この墓地公園は、元島民らの訪島事業などの際に慰霊祭を開催する場所にもなっています。
上皇ご夫妻が1994年に訪問された際には、国や東京都が戦没者を追悼する施設として建てた『硫黄島戦没者の碑』と『鎮魂の丘』で拝礼されています。しかしその後に小笠原諸島ご歴訪という予定もあったことなどから、墓地公園での拝礼はかなわなかったのです。バスの中で公園に向かって黙とうされていたのですが、上皇ご夫妻にとって大きな心残りとなっていたと伺っています。
両陛下は墓地公園へのご訪問を通じ、上皇ご夫妻の悲願でもあった、元島民をはじめとする人々との“心の交流”をいっそう深められようとお考えなのでしょう」