■「私にできることが…」出会いが導いたご訪問
イベントには、横浜訓盲学院に通う齊藤健豊(けんと)さん(20)と母の治子さんがいた。健豊さんのニックネームは“ケンちゃん”。彼には、先天性の盲ろうに加え、脳にも障害がある。
米山さんの団体がケンちゃんを支援していた経緯もあり、その一環で母子が「みるTech」のブースを手伝っていたのだった。佳子さまは会場のケンちゃんの手を取り、触手話などを通じて挨拶されたという。
治子さんはこう話す。
「盲ろうの子供たちが生きていくために必要なことを学ぶ場が少ないこと、重度の先天性盲ろうでも触手話を使ってコミュニケーションが取れることなどを伝えました。佳子さまは手話もおできになるので、深く理解していただけたのだと思います」
しばらくすると、治子さんのもとに宮内庁から連絡があった。
「佳子さまとお会いした少し後に、宮内庁を通じて『ぜひ健豊さんの通う横浜訓盲学院を訪問したいのですが、いいですか?』とお尋ねがありました。私は、盲ろう教育の第一人者の星祐子学院長をご紹介しました」
そして今年5月、佳子さまはお忍びで横浜訓盲学院に足を運ばれた。ケンちゃんとの出会いが、佳子さまが同校を訪問される端緒となっていたのだ。この際、佳子さまは箱根寄木細工のピアスをおつけになっていた。このピアスは、事前にケンちゃんが贈っていたものだったという。
「同校のバザーで販売していた300円のピアスで、箱根寄木細工の廃材を活用した品です。学校や生徒のことを知っていただく目的でお贈りしたのですが、まさか身につけてくださるとは思わず、本当に驚きました」(米山さん)
これまでも佳子さまは、訪問先にちなんだ品を用いられることが多かった。
「昨年の広島県ご訪問時には、名産品のビーズが用いられたイヤリングをつけられていたように、訪問先にゆかりのある品を用いることで、先方への共感を表現されていらっしゃるのです。贈られたピアスはコンバーターなどを使って、イヤリングとしてお使いになったそうですよ」(前出・宮内庁関係者)
そして、佳子さまが7月に同校を訪問された際には、取材機会が設けられ、メディアも複数取材し、ご視察の様子が報じられた。
「佳子さまは、障害の事情によってコミュニケーションの手段が異なる生徒にそれぞれ合わせ、一人ひとりにお声がけされていました。子供たちも大喜びで、握手をお願いしたり、笑顔があふれていました。また佳子さまからは生徒たちに、七夕にちなんだ星の形をしたお煎餅のお土産をいただきました。
きっと佳子さまは、障害者のなかでも隅のほうにいる、盲ろう者の存在を人々に知ってほしいとお考えなのでしょう。私たちと出会ったときから、『私にできることがあったらいいのですけれど』と、寄り添っていただけました。
当事者である盲ろう者だけではなく、その保護者や支援する方々に対する佳子さまのお心寄せが、私たちにとって、どれほどありがたいことか、言葉では言い表せません」(治子さん)
これまでも佳子さまはさまざまな機会で、“誰もがより幅広い選択肢を持てる社会になること、それが当たり前の社会になること”を訴えられてきた。ケンちゃんとの「300円ピアス」の絆を胸に、ご自身が献身するべきライフワークを、佳子さまは日々切り開かれている。
画像ページ >【写真あり】水玉のワンピースが美しい佳子さま(他14枚)
