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もうすぐ春の花見シーズン。旅行の計画を立てている人も多いのではないだろうか。

 

訪日外国人が最も訪れる場所であり、幅広い世代に不動の人気を誇る「京都」。紅葉の時期についで、花見の時期も観光客が殺到する。花見のピークは4月6日以降との予測だ。ふらりと思い立って、ひとりで京都を訪れる人もいるだろう。

 

「京都のひとり旅で最も難渋なのは、晩ごはんを探すこと」――京都在住の歯科医で、昨年は約100日の「おひとり晩ごはん」食べた柏井壽氏はこう語る。

 

観光客を相手に、法外な料金を取る店。マスコミやブロガーに取り上げられて全国から人が予約困難な店。なかには数カ月待ちの店もザラにある。「お店の予約を取ってから京都旅行の日程を決める人も珍しくない。果たしてこれは正常なことでしょうか」(柏井氏)。

 

では、京都では何を食べるのが正解か。

 

その1つに焼肉がある。京都は明治以来、牛肉食がいち早く進んだ地域。京都人はひとりあたりの牛肉の年間消費量もトップ3に入る「肉食」なのだ。最近では、牛肉を揚げた“ビフカツ”も名物で、全国的なブームともなっている。

 

焼肉が“ひとり飯”に向かないと言われるのは主に「量が多くていろんな種類を頼みにくい」「周りの目が気になるの2つ。その問題を解決してくれる店を2つ紹介しよう。

 

■「京焼肉 嘻姜」

 

京都といえば、まず数寄屋造りや京町家を思い浮かべるだろう。京都の中心に位置する烏丸三条は日本のウォールストリートと呼ばれていたとされ、明治の近代建築である赤煉瓦の洋館が残るエリア。「嘻姜(キキョウ)」は大正時代に建てられた洋館をリノベーションした商業施設の中にある。京都で日本の近代建築を楽しむのもまた一興。そして「おひとり晩ごはん」にオススメな理由は「ハーフサイズ」が注文できること。グランドメニューのほぼすべてが対応しており、約半額の値段となる。これは「ひとり客歓迎」のサインと言えよう。つまり「おひとり晩ごはん」でも居心地のよい空間だということである。

 

■「京の焼肉処弘 八条口」

 

「ミートショップヒロ」という精肉店が開いた焼肉店。03年に誕生して以来、次々と店舗を増やし「京都で焼肉といえばこの店」(柏井氏)という存在になった。その最新店舗がこちら。ひとりで訪れると壁と向き合うカウンター席に通される。「おひとりごはん」に嬉しい心遣いだ。メニューも「ナムルの盛り合わせ」が重箱に入っているなど、京都らしさも。お薦めは「和牛赤身肉青葱だれ」。そして、特筆すべきは京都駅八条口から徒歩5分という立地。新幹線の終電10分前に店を出ても間に合う。

 

帰りの新幹線で缶ビールと駅弁を食べるのもいいが、晩ごはんも京都で堪能して帰るというのも旅の締めくくりにおすすめしたい。

 

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『おひとり京都の晩ごはん 地元民が愛する本当に旨い店50』
(光文社刊・税込799円)

 

 

著者プロフィール


柏井 壽(かしわい ひさし)

1952年京都府生まれ。76年、大阪歯科大学卒業後、京都市北区に歯科医院を開業。生粋の京都人であり、かつ食通でもあることから京都案内本を多数執筆。テレビ番組や雑誌の京都特集でも監修役を務める。『日本百名宿』『ゆるり 京都おひとり歩き』(以上、光文社新書)、『京都の路地裏』(幻冬舎新書)、『ぶらり京都しあわせ歩き』(PHP京都しあわせ倶楽部)、『おひとり京都の秋さがし』(光文社知恵の森文庫)など著者多数。「鴨川食堂」シリーズ(小学館)や「名探偵・星井裕の事件簿」シリーズ(柏木圭一郎名義)など、小説家としても活動する。

 

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