ていねいな暮らしが見直されている今、日本古来の方法でていねいにつくられた「基本の調味料」を取り入れてみませんか? 大量生産とは違う個性で、いつものおうちごはんがぐっと豊かに格上げされます。
基本の調味料のなかでも身近なのが「しょうゆ」だろう。そんな、しょうゆにまつわるいろはを知っておこう。
■種類による分類
【こい口しょうゆ】
生産量の80%以上を占めるスタンダード。大豆、小麦、食塩を原料とする、関東を中心に発達したしょうゆで、香りと色、味のバランスにすぐれる。食塩分は約16%。
【うす口(淡口)しょうゆ】
関西を中心に発達。原料はこい口と同じだが、発酵を抑えたり、火入れ温度を調節するなどの工夫で淡色に。仕上げに甘酒や水あめなどの甘味を加える。食塩分は約19%。
【たまりしょうゆ】
東海地方で愛用され、しょうゆのルーツに近いとされる。小麦の割合が低く、ほとんど大豆。とろりとして味わいも濃く、うまみ成分が多いのが特徴。食塩分は約18%。
【白しょうゆ】
おもに愛知の三河地方で使われる淡口しょうゆの一種で、“たまり”とは逆に小麦粉の割合が多い。透明な琥珀色が特徴で、味は淡泊で香りがいい。食塩分は約18%。
【再仕込みしょうゆ】
生じょうゆに再び麹を入れて2度仕込む、熟成期間の長い濃厚なしょうゆで、甘露しょうゆとも。発祥は山口県で、九州、山陰地方でも親しまれている。食塩分は約16%。
【魚醤】
魚介類を塩漬けにして発酵・熟成させた調味料で、しょうゆの仲間。歴史はしょうゆより古いとされる。秋田県の「しょっつる」をはじめ日本全国にあり、世界的にはタイのナンプラーやベトナムのニョクマムなども有名。
■製法による分類
【本醸造方式】
原料の大豆と小麦に種麹を加えて「麹」をつくり、さらに塩水を加えて「もろみ」をつくり、約6〜8カ月寝かせて発酵・熟成させる、もっともポピュラーな製法。原料は大豆、小麦、塩だけのことが多い。
【混合醸造方式】
本醸造方式でできた「もろみ」にアミノ酸液などを加え、一緒に熟成・発酵させることで、短期間で製造。アミノ酸液特有のうまみを生かしたマイルドなしょうゆで、九州や北陸、東北などで親しまれている。
【混合方式】
一般的に、本醸造方式でできた「もろみ」を圧搾した「生揚げしょうゆ」に、アミノ酸液などを加えたしょうゆで、発酵・熟成の有無は問わない。混合醸造方式と同様、うまみがあり、一部の地域で親しまれている。
新しい生活様式は、「基本の調味料」の見直しから始めよう。
「女性自身」2020年7月14日号 掲載