健康診断の受診や運動を行うなど、健康の維持・増進のための活動に、ポイント制度を導入する自治体が増えている。貯まったポイントは商品券などに交換できてお得だと、注目を集めているのだ。代表的な取り組みを、経済ジャーナリストの荻原博子さんに聞いた。

 

「ポイント換金額が、年間最大2万4千円分という取り組みがあります。千葉県浦安市をはじめ、新潟県見附市、福島県伊達市、栃木県大田原市、大阪府高石市、岡山県岡山市の6市が合同で行う『健幸ポイントプロジェクト』です。40歳以上の市民が対象で、健康診断の受診、運動などのイベント参加に加えて、体重の減少や筋肉量の増加など運動後のデータ変化にもポイントがもらえ、商品券や電子マネーに交換できます」

 

また、ラジオ体操カードのように、シールの貼り付けや自分で記帳してポイント加算する自治体もある。

 

「兵庫県豊岡市の『健康ポイント制度』は、自分のウォーキング目標をクリアできれば○を、市の指定する目標もクリアできれば◎と自己申告します。毎月、◎と○の数だけポイント加算できます。貯まったポイントは市の指定する温泉や運動施設の利用券に交換できるほか、地元の小中学校に寄付もできます」

 

地元の商店街などと連携して、市民の健康増進と地域振興の両方を狙う自治体も。

 

「秋田県鹿角市の『かづのでわくわく健康ポイント事業」は、健康診断や運動イベントに参加すると、地元商店街が発行するカードのポイントとして付与されます。ポイントは、カード加盟店ですぐに使えます。より多くの市民に参加してもらおうと、がん検診などのポイントを前年度の3倍に増やしました」

 

こういった取り組みの目的はほぼ同じ。市民の健康を維持することで、健康保険や病院の建設など、自治体が負担する医療費を軽減するためだ。さらに今年4月からは、要支援者への介護予防やデイサービスなど通所介護は、国の介護保険から自治体の運営に移行される。

 

「自治体としては、予防に力を入れ賞品などを贈り、医療や介護を必要とする方を減らすほうが、市民に喜ばれるうえ、負担も少なくて済みます。市民にとっても、自分の健康を守って賞品をもらえるなら、一石二鳥です。お住まいの自治体にも、同様の取り組みがないか探してみてください。いまや、高齢でも働けるうちは働くことが求められる時代、そのための資本は、自分の健康にほかなりません」

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