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「“最近、急に体重が増えた”“おなかのぜい肉がとれない”“低血圧だったのに、血圧が高くなってきた”“階段を上ると息切れする”……そんな不調を感じていませんか?これは、更年期世代に入り、女性ホルモンである『エストロゲン』の分泌が低下することによって起こる、体の不調なのです」

 

そう語るのは、テレビの健康番組でおなじみの総合内科専門医・池谷敏郎医学博士。エストロゲンの分泌量が減少することによって、さまざまな生活習慣病が引き起こされるという。

 

「女性の皮膚をみずみずしくさせる効果があるエストロゲンには、血管をしなやかに保つ作用があり、血圧が上がることを防いでくれます。さらに動脈硬化の予防や、尿酸値の上昇の抑制など、さまざまな病気に対する予防効果をもたらしてくれることから、“血管の守り神”と呼ばれています。ところが、更年期を迎え、エストロゲンの分泌量が激減すると、さまざまな病気のリスクが、一気に高まってしまうのです」

 

また、20年にわたり20万人以上の人間ドックや健康診断を行ってきた内科医の奥田昌子先生もこう語る。

 

「若い世代の女性の“悪玉コレステロール”の数値が、同世代の男性より低いのも、エストロゲンの作用によるもの。その分泌量が低下する45歳ごろになると、“悪玉コレステロール”の数値が急激に上がり、男性の平均値を追い抜いてしまうのです。高血圧も同様。45歳を境にして、それまでエストロゲンで抑えられていた血圧は上がっていき、男性と肩を並べるようになります。まさに、45歳という年齢は、女性の健康を考えるうえで、大きな分岐点なのです」

 

over45の女性の体に訪れる不調を、何でも“更年期だから”で片付けてはいけないと池谷先生は言う。

 

「更年期障害とは、不調の原因が“ほかの病気のせいではない”とわかってから、初めていえること。そのために、健康診断を受けることが大切なのです。会社の健康診断が定期的にある夫の結果を見て、“お酒の飲みすぎね”“メタボ、大丈夫?”などと気にかけることはしても、自分は健康診断を受けそびれる女性が多い。会社員の夫が所属する健保組合が、その妻のために実施するものや、市区町村が行うものなど、日本には全員が健診を受けられるシステムがあります。それを活用しないのはもったいないこと。特にエストロゲンが低下することで、病気のリスクが高まる世代の女性こそ、健康診断を受けてほしいですね」

 

’08年より40〜74歳の保険加入者を対象として、全国の市区町村で導入された『特定(メタボ)健診』は、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病をはじめ、腎機能障害、高尿酸血症、喫煙など、動脈硬化に関わる危険因子のチェックができる、よくできた健診だ。健康診断の結果が出たら、「コレステロール高かったわ」など、一目見て「それで終わり」にしないでほしいと池谷先生。

 

「ぜひ、検査結果を持って病院へ行き、医師に、治療が必要なのか?改善するためには、どうすればいいかを相談してほしいです。薬を服用しなくても数値を改善する方法があるのか。検査結果を医師と共有し、家族歴、既往歴などを加味したうえで、双方が納得でき、薬が不要なら『なぜ不要か』を明確に説明してくれる医師を主治医にしてください。そういう医師が見つかるまで探すことも大切かもしれません。45歳を過ぎたら、自分には病気があることを認める“病識”の意識を持ってほしいと思います。20代、30代とは体がもう違うのだということを知り、検査結果をしっかり受け止めましょう」

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