人生100年時代、最後まで元気にいられる秘訣は、背骨の骨をつなぐ椎間板にあった! 朝起きたあと、夜寝る前に10~15回ほど、誰でも手軽にできて効果的な体操を教えます!
日本人の3人に1人は慢性的な腰痛持ちであり、全人口の80%の人が、1度は腰に痛みを感じたことがあるという。プロ野球選手など数々の世界的アスリートや、十朱幸代さん、中山美穂さんをはじめとした女優、著名人を施術してきた「さかいクリニックグループ」院長の酒井慎太郎先生はこう語る。
「腰痛は、いちばん早く訪れる日本人の生活習慣病であり、国民病ではないかと思います。だいたい30~50代で発症し、最近では小学生の患者さんもいらっしゃいます」
その酒井先生が『100歳まで歩くには、椎間板をゆるめるしかない!』(幻冬舎)を出版した。「椎間板」とは、背骨の骨(椎骨)と骨の間にあるクッションのようなもの。血管や神経が通っておらず、鍛えることもできないため、故障すると再生しづらい部分だという。
そしてこの椎間板は、年を重ねるごとにすり減っていく“デリケートな消耗品”なのだそう。加齢に加えて両親などからの遺伝的要素、さらには悪い姿勢をとり続けていると、加速度的にその摩耗が進んでいき、自分の体を支えることができなくなってしまうという。
椎間板がすり減り、背骨にかかる負担を軽くすることができなくなると、ぎっくり腰になりやすくなり、椎間板症から椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症へと、腰痛の症状が進行していく。同時に、肩こりや首痛といった症状が出始め、ひざにまでその影響が及び、最終的には寝たきりになってしまうというのだ。
では、椎間板への負担を減らすにはどうしたらいいのか。それは「適度に体を動かすこと」だと酒井先生は言う。ちょこちょこと家事をしたり、散歩をしたりといった“ごく軽い運動”が、椎間板のメンテナンスにはもっとも重要なのだそう。
「現代人は仕事などで長時間同じ姿勢をしている人が多く、それがねこ背などの“悪い姿勢”だと、よけいに椎間板に負担がかかります。横になるとその負担が軽くなるのですが、寝ているときも同じ姿勢でい続けると、同じ場所に負担がかかってしまいます。ですから、寝返りを打つというのは、非常に重要なのです」(酒井先生・以下同)
そこで酒井先生が考案したのが、「寝返りゴロゴロ体操」だ。就寝前や起床時に、ゴロゴロと寝返りを打つだけだが、これが椎間板にかかる負担を減らすのに効果的なのだという。
【寝返りゴロゴロ体操】
朝起きた後と夜寝る前に10~15回ほどゴロゴロと寝返りを打つ。和室にやや硬めの敷き布団を二人分敷いて行うのがおすすめ。ヨガマットなどを敷いて、左右に何度も往復するのもOK。寝返りを打つときは、背骨がしなるように動くが、そのとき、椎間板がほぐされ、疲れが取れるという。
「1日2回、10~15回ほど、睡眠前後のほんの30秒程度でかまいません。横になって重力の圧を感じないところで、腰を回旋させることが大切なのです」
しかもこの「寝返りゴロゴロ体操」は、腰を回旋させることで血流がよくなり、全身の筋肉がほぐれて、肩こりなども解消。また、寝つきや寝起きがよくなり、腹斜筋をはじめとしたおなかまわりの筋肉を使うので“くびれ”効果もあるそうだ。
「寝返りは、赤ちゃんが最初に行う行動です。そして、人間が最後にできなくなるのもまた、寝返りなのです。つまり、寝返りができてさえいれば、健康寿命も延びるといえるでしょう」
さらには、横にならずに腰を回旋させる方法として「上体ぶらんぶらん体操」も提唱。同じように、腰の椎間板への負担をゆるめることができ、場所も選ばずにできるので、日中の運動におすすめだ。
【上体ぶらんぶらん体操】
1)肩幅に足を開き、体の後ろ側に重心を置いてまっすぐ立つ。
2)体の力を抜き、上体と腕を斜め後ろ方向へ回旋させる。体の中心にある腰椎が動くのを意識しながら回すといい。
3)反対側も同じように力を抜いてぶらんぶらんさせる。左右交互に10~20回行うのが目安。
「関節は、1回30秒程度動かすだけで、その後5~6時間は固まらずに動かせるといわれています。ですから、睡眠の前後には『寝返りゴロゴロ体操』を、昼には『上体ぶらんぶらん体操』で、ぜひ椎間板をケアしてみてください」