長年いびきに悩まされてきた西村さん 画像を見る

「睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)は、恰幅のいい男性や、アルコールを飲む人がなるものだと思っていました。だから小柄でお酒を一滴も飲めない私が、6年前にテレビの健康番組の企画でSASと診断されたときは、すごく驚いたし、ショックでした」

 

こう振り返るのはタレントの西村知美さん(50)。しかし、思い返せば、心当たりのある出来事があったという。

 

「幼稚園のころ、母からいびきを指摘されたんです。かなりひどかったみたいで、病院でアデノイド(扁桃腺肥大)と診断されました。ある日、母に『楽しいところに連れて行ってあげる』と連れられて、気がついたら病院の手術台に。看護師さんに羽交い絞めにされ注射を打たれて、喉から出た血でバスタオルが真っ赤になっていたのがトラウマです」

 

その後しばらく、いびきは落ち着いたという。しかし、芸能界デビューのために高校生で一人暮らしを始めていた西村さん。“わからなかった”というのが正確なところだったようで——。

 

「20歳くらいのときに、家族で旅行に行ったら、朝、姉が笑っているんです。当時はハンディカムが流行り出した頃。姉は、私がいびきをかいている様子を録画していたんです。こればかりはさすがに表に出せません……」

 

そのときは“たまたま疲れていたため”と、自分に言い聞かせた西村さん。その後もしばしばいびきを指摘されることはあったが、深刻には受け止めてこなかった。

 

「結婚しても、主人は私より先に寝るし、高いびきの人。だから、私のいびきには全く気付かなかったんです。けれど娘が小学3年生くらいのとき『ママ、昨日、怖い夢を見たんだよ。学校にオオカミがあらわれて、ぐわーって怖い声をあげて……。目が覚めたら、ママのいびきだったの』って言われたんです……」

 

それ以降、仕事で地方ロケに行き、相部屋となる際は、いびきを気にしてほぼ眠れなくなった。

 

「友人たちと家族ぐるみで泊まりに出かけたときも、わが家だけ、別の部屋にしてもらっていました」

 

その後も、別の部屋で寝るようになった娘から「昨日試験勉強をしていたら、隣の部屋のママのいびきが聞こえてきたよ」と言われることも。

 

そんなこともあり、健康番組で思い切っていびきをカミングアウト。精密検査を受けた。

 

「検査の結果、ふだんは10秒だって止められないのに、寝ているときは30秒も呼吸が止まり、血中酸素飽和度も85%まで下がっていることがわかりました。たしかに、たまに苦しくて起きてしまうことがあったんです」

 

さらに別の番組では“かくれ脳梗塞”(軽度の脳梗塞)の診断も受けた西村さん。直接の因果関係は不明だが、SASでは脳卒中のリスクも高まるといわれている。

 

「診断当初こそ、医師の指示で、鼻に空気を送り込んでくれるCPAPという装置を使っていたんですが、ドライヤーの冷風を送り続けられるようで違和感があり、2週間しか続きませんでした。

 

ネットショッピングでマウスピースや、舌を吸い込んでのどの奥に落ち込まないようにして寝られる器具も買いました。けれど、どちらも朝起きたら外れてしまっています。鼻呼吸するために小顔マスクをしたまま寝たこともあるんです。レーザー治療は、ラジオの仕事もしているので、声に影響が出るのが心配で踏み出せませんでした……」

 

そう思いながら、専門病院にもなかなか受診できないまま、治療を断念してしまったという西村さん。しかし、コロナ禍で考えを改めたという。

 

「これまでは来月こそ受診しよう、コロナが収まったら受診しようと思ってついつい先送りになってしまっていました。でも、テレビでコロナにかかった人が、血中酸素飽和度が90%を下回ると救急車で運ばれるレベルだと知り怖くなって……。それに、10年、20年後に後悔したくないので、この取材をきっかけに、ちゃんと向き合おうと思っています」

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