■家中の寒い場所はすべてヒートショック危険箇所
浴室で起こるヒートショックについては、これまでも危険性が指摘されてきた。しかし、気を付けなければいけない箇所は家中にあると、菅原脳神経外科クリニックの菅原道仁院長は警鐘を鳴らす。
「リビングから廊下に出たら寒い、と思ったことはありませんか? このような温度変化がある場所なら、どこでもヒートショックを起こす危険があるんです」
そこで堺院長と菅原院長に、危険箇所ついて聞いた。
「温度差が大きいほどヒートショックを起こす可能性は上がります」(堺院長)
特に寝間着のまま室温が低い場所に行くのは非常に危険だという。
「夜中のトイレは、排せつ時に血圧が変動しやすいうえ、冷え込みやすい場所のため、注意が必要です」(菅原院長)
夜中に台所に行って、水を飲むこともあるが、この移動にも危険が潜んでいるという。
「夜中や早朝の台所は、非常に寒いことを認識しておくべきです。水分補給は、枕元にペットボトルを置くなどして、寝室内で済ませてください」(菅原院長)
暖房などの対策をしにくい場所という意味で、玄関とベランダも要注意だ。
「とくに玄関は、新聞を取りに行ったり、ゴミ出しなどで足を運ぶ頻度が高いうえ、一瞬だからと、パジャマのまま行くことが多い場所。ヒートショックを防ぐためには、多少面倒でも、寒いと感じる格好で行くのは避け、厚手の上着などを羽織るようにしましょう」(菅原院長)
また、暖房効率を上げ、家の中に温度差を作らないことも重要。
「厚手のカーテンを使う、窓にフィルムなどを張る、夏場に使用した扇風機を活用して、部屋の下にある冷たい空気と上にある暖かい空気を循環させるなど、少しの工夫でヒートショックへの対策はできます」(堺院長)