「寿命が短い人、100歳を過ぎてもピンピンしている人がいますが、なぜ個人差が生まれるのかーー。実は、体内のリンが老化や寿命を左右することはあまり知られていません。体にリンがたまらないようにコントロールできれば、老化を遅らせることが可能です」
そう話すのは、医師で、発売から2カ月余りで9万部を売り上げた『腎臓が寿命を決める 老化加速物質リンを最速で排出する』(幻冬舎新書)の著者の黒尾誠先生だ。
「血液中のリン濃度が高い動物ほど寿命が短いことから、リンが老化加速物質である可能性が考えられます。体にリンをためないためには、腎臓から尿中へ余分なリンを排出する必要がありますが、排出能力は個人差があります」
研究によると、排出能力は出生体重に比例するという。
「低体重で生まれた人は、腎臓のリン排出予備能力が少ないので、リンの取りすぎに注意が必要です」
食習慣でも、リンをため込まないように気をつけられるという。中高齢者や慢性腎臓病予備群の人は、リンをためない食生活を心がけることが大切だ。
■食品ラベルに健康のヒントが
今回は黒尾先生に「老けない食事術」を教えてもらおう。気をつけるべきは、加工食品だ。
「まず注意すべきは食品添加物です。食品添加物の中にはリンを含むものがあり、加工食品の食品ラベルを見ると確認できる場合があります。リン酸塩やリン化合物はわかりやすい代表格ですが、『リン』とは記載されていなくてもリンを含む可能性がある添加物も。『かんすい』や『結着剤』などにはリンが含まれている可能性がありますが、日本ではいくつかの添加物を一括表示することが許されているので、消費者にはリンが含まれているかどうかは知るすべがありません。ただ、食品添加物は私たちの食生活を安全で豊かにしてくれる大切なものなので、あまり神経質になるのも考えものです。『リン酸塩』と表示されているものは、できれば避けるように心がけるのがいいでしょう」
【リンが使用されている添加物例】
「かんすい」「酸味料」「香料」「乳化剤」「pH調整剤」「強化剤」「粘着剤」など。
【1】ハム、ソーセージなどを減らす
「メーカーによってリン酸塩の含有量がかなり違うのですべてダメとはいえません。『加工品はリンが多め』くらいに意識しましょう」(黒尾先生・以下同)
【2】かまぼこ、練り物を減らす
「水産加工食品にもリンを含む添加物が入っている場合が多い、くらいに覚えておき、頻繁にではなくたまに食べる程度に」
【3】「元の素材がわかる食品」を
「野菜、果物などは元の素材や形のまま食卓にあがる食べ物ですが、加工食品は元の素材を別の形に整えてあります。変えられているものは添加物が含まれていることが多いので、選ぶ際の目安に」