■血管内に流れた歯周病菌が動脈硬化の原因に…
炭水化物を取ると血糖値が上がる。血糖値が上がると歯周病も進行しやすくなる……というように、糖尿病と歯周病は密にリンクしているという。
「歯周病の進行によって産生される炎症性物質が血液中に入ると、インスリンを作る働きを低下させるということが研究でわかっています。つまり、血糖値が下がりにくくなり高血糖になることに。この状態が続くと、膵臓がインスリンを作るのをやめてしまい、糖尿病の進行を招きます。
また、動脈硬化は不規則な食生活や運動不足などが原因とされてきましたが、歯周病菌が血管内に流れると、動脈硬化を誘導する物質が出ます。すると、血管内にプラーク(粥状の脂肪性沈着物)ができ、血液の通り道を細くします。プラークがはがれて血の塊である『血栓』ができると、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。
糖尿病、動脈硬化、認知症など、病気は連鎖して起こるケースがありますが、その入口は生活習慣病だけでなく、歯周病にもある、ということを忘れないでください。糖尿病の治療だけで血糖値が下がらない場合、歯周病の治療と並行すると、血糖値が下がるケースがあります。見落とされがちですが、口腔内のケアと生活習慣病の治療は両輪で行うことが大切です」
糖質の「重ね食べ」の習慣がある人は、さまざまな病気の入口にもなりかねないほか、1日に取る栄養が不足している可能性もある。前出の東京都健康長寿医療センター研究所の調査では、歯周病の有無に加え、そしゃく能力と1カ月間の栄養との関連も調べていた。そしゃく能力が低いと判定された人は、糖尿病発症のリスクを低減するとされるカルシウムやビタミンDの摂取量が少なかったという。
「歯の健康を維持し、よくかんで、栄養バランスを考えた食事を取ることも大切です」
残っている歯が多いほど、健康寿命は延びるといわれている。「ラーメンライス」や「ラーメンと半チャーハン」が大好き、という人は、改めて注意したほうがよさそうだ。